平成30年度奈良医大「Dr. N Project」講習会で講演しました。
午前中はめまいの診察。
後半規管は耳介の向き!
三半規管と浮遊耳石の大きな模型。何より安価で軽いのが気に入っています。
BPPVに対して、どのようにすれば耳石置換できるのかその原理と、もっとも有用な方法は何であるのか、理屈とエビデンスを紹介。
さあ、実践してみよう。
頭で理解したら 何度も実践して身体に覚えこませます。
後半規管BPPVの治療ができたら、今度は外側半規管型。
Semont法はアグレッシブですね~
Gufoni法を実践してみましょう
Epleyで失敗しやすいピットフォールはなにか。頭位の懸垂が足りない場合です。耳石が途中で逆戻りします。その場合は手技中に眼振の向きが変わりますね。
午後はまずめまいの後半をさらっと。急性前庭症候群では前庭神経炎と脳幹・小脳梗塞が二大疾患。鑑別に有用なのはHINTS plus。その中でもHITは最重要。急性期であればMRIよりも有用です。Real HIT実践中です。このためにHIT偽陽性を演じる練習しました。
午後のメインはショックの身体診察。頸静脈波形の見かたを実践中。
III音聴取が苦手な人は心エコーの左室流入波形でPseudonormalizationしている患者さんがいたらベッドサイドにダッシュ!
ショック診療で重要なのはMicrocirculationの把握。平たく言えば皮膚所見で古くから知られているにも関わらず、2001年の敗血症の基準にも盛り込まれていたにも関わらず、21世紀になってようやく論文が急に増えた領域。臨床とアカデミーのギャップの一つですが、アカデミーが追い付いてきたお陰で、臨床医は自信を持って診療ができるようになりました。
当院には敗血症性ショックで「CRTとMottlingの改善確認せずして(医師が)帰宅するな」、という格言があります。CRTとMottling改善がない場合は短期生命予後が著しく不良です。「帰るな」というのは医師の働き方改革からは非難されそうですが、少なくてもやるべきことをやっているか再吟味し、しっかりと申し送りを行い最善の治療が継続されることを担保した上で帰宅したいものです。
最後にせっかくのスキルスラボなので、心音と頸動脈波のお勉強も少しさせてもらいました。前腋窩線を超えても聞こえればMR、聴診器を押し付ければ音が消えるIII音。どちらも再現性いまいちか?。心尖拍動を同定させるために心尖拍動を表現させると機械的にこすれる音でIII音がわからない。オペレーターが機械の限界をしった上でうまく誘導しなければならないいことを学びました。それでも座学よりはずっと多くのことを学ぶ勉強になったと思います。
多くのシュミレーターが揃っていたので、「グループ対抗、心音当てゲーム」とかうまい事考えたら盛り上がりそうです。
あとは休憩をはさんで「救急で使える高齢者の身体診察」という講演を行う予定です。丸1日ではありますが、多くの休憩を挟んでの勉強会なので演者も受講生も疲れ切ることなく乗り切れそうです。間の休憩は復習の時間にもなってよかったようです。