医学書院の「総合診療」で新連載
「胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう」
の初回です。
タイトルは「胸壁症候群が重要なワケとは?」
救急外来における胸痛患者ではACSやDAAを否定する必要性が高いがあまり、「心臓の痛みではない」「怖い病気ではなさそうですね」という説明だけで対応していることはないだろうか? その説明で本当に患者は安心できるだろうか?
とくにプライマリケア領域では胸痛の原因疾患の第一位は胸壁症候群です。しかし胸壁症候群ついて特化した書籍を私は知りません。だから連載で少しづつ勉強していくことにしました。
また、ACSでも胸壁症候群も、さらには心因性胸痛も、疼痛の部位は平均すればほとんど同じという報告があります。
しかし、胸壁症候群は様々な部位が痛むことがあります。例えば肋骨肋軟骨接合部、胸骨、剣状突起などです。これらをごちゃまぜにして「胸壁症候群」とすることはゴミ箱的診断をしているのと変わりません。
内科医は「内臓の病気」という最終診断名を用いることは決してないでしょう。同じように「胸壁症候群」という最終診断名も可能な限り避けるべきであると思うのです。どの筋肉が、どの軟骨が痛んでいるのかを明確にし、病態を明らかにすることで、患者を安心させ、生活指導にもつながり、医師自身を成長させるのです。
さあ、これから1年間頑張って勉強したいと思います。