この書籍は救急と書いてありますが、「救急総合診療科」的な書籍で、救急外来のみならず、病棟急変や緩和救急、在宅に至るまでを網羅しています。
図表を用いたり、語り口調など読みやすい工夫が書籍を通じてされているので、幅広い人におすすめの書籍となっています。
私は「術後発熱、入院中の発熱」と「せん妄」の章を担当しました。
術後発熱、入院中の発熱については以下の川柳を考えました。
「バイタルサイン 重要だけど 不十分」 患者背景や悪寒戦慄、経口摂取の程度も把握しましょう。
「急ぐ熱、刺された所、肝腎だ」 CRBSI、尿路感染、胆道感染が疑われた場合は、夜中でもワークアップすべし。
「見るだけじゃ 診れてないんだ 触りましょ」 皮膚潰瘍がないが皮下膿瘍のある褥瘡、関節痛を訴えられないが関節が熱い関節炎、下肢周囲径を指で測れば明らかに腫脹していたDVT、いずれもぱっと見で見落とされていた発熱原因。
「優しいだけじゃ 人は救えない」 親切に布団をかけるからうつ熱になる。入院環境下でそんなに布団要りますか??
せん妄については以下の川柳を考えました。
「高齢者 興奮無くても せん妄あり」活動性せん妄の3-4倍の頻度で低活動性せん妄はあるとされる。
「患者が冷汗かいたら、自分も冷汗をかけ」
「患者が振戦したら、自分も震え慄け」
せん妄で冷や汗や振戦がでるのは違和感があります。低血糖、薬物中毒/離脱を考慮すべきです。
「せん妄原因に 2つのWernickeを忘れない」
Wernicke失語はせん妄との鑑別が困難(特に合併例)な事があるので注意すべし。アルコール離脱のせん妄にWernicke脳症を鑑別に入れないと取り返しのつかないことになる。
「栓で譫を制するべし」 耳栓±アイマスクはせん妄を45%減らすのだ。ちなみに私の回診ではカーテンを開けることと、ギャッジアップをよくしている。
「せん妄予防 薬剤中止あれど 薬剤投与なし」 デキスメデトミジンが最も期待される薬剤だが、そんな高価な薬剤を保険適用無視して処方するわけにもいかない。抗精神病薬のせん妄予防効果も意外なことに否定的な報告は多い。もちろん自傷他害につながるような活動性せん妄は抑制されるであろうことから必要に応じては用いるが、非薬物療法の重要性を強調したい。
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