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「激しい疼痛であれば、絞扼性腸閉塞を疑う」はずだがエビデンスは乏しい

内科診断リファレンスの改訂作業に入っています。まだ入り口ですが。今日は腸閉塞についてまとめているので、その中から診察について抜粋。


腸閉塞の存在診断についての診察所見の報告は増えていません。が、 腸閉塞の診断に対する聴診の有用性は証明できなかったという報告が相次いでおり(J Surg Educ. 2014 Sep-Oct;71(5):768-73. PMID: 24776861 / World J Gastroenterol. 2012 Sep 7;18(33):4585-92. PMID: 22969233)、聴診については控えめな表現とし、その代わり診察では視診の重要性を強調しました。なお先日も臨床の場でその重要性を再認識しました。


また、絞扼性腸閉塞に対する病歴や身体所見についても以前からあまり報告が増えていません。ペンタゾシンが無効という「ペンタジン・サイン」と研修時代言っていたのもあながち間違いではないと思っていますが、いまだにエビデンスが増えていないようです。

以下に診断特性をまとめて表にしてみました。(網掛け部分はその上にデータをまとめているので削除予定の部分です)。本当は元データ読み込めているのでMetaDiscを使って正確なデータ統合をしてもよいのですが、カットオフが異なったり、あまりに診断特性が異なり、異質性が大きいことが明らかなので、また、そもそも私のハンドサーチによる論文検索であり必ずしも網羅的ではないので、あえてちゃんと統合せずに、”範囲”としてまとめようかと思っています。

バイタルが不安定であったり、腹膜刺激徴候があるよりも、ペンタゾシン・サインのほうが診断に有用な可能性もありそうですが、報告は一つだけしかないので追試験が欲しいところです。どなたか論文知っていたら教えてください。


表:絞扼性腸閉塞の診断

£World J Gastroenterol. 2003 Mar;9(3):603-5. PMID: 12632527

†Medicina (Kaunas). 2007;43(11):850-4. PMID: 18084141

‡日本臨床外科学会雑誌. 2007;68(2):273-278. NAID:130004516479

¶J Gastrointest Surg. 2009 Jan;13(1):93-9. PMID: 18685902

§World J Surg. 2010 May;34(5):910-9. PMID: 20217412

℄Br J Surg. 2010 Jul;97(7):1119-25. PMID: 20632281



以下は元データの控えです。無視して結構です。

疾患 + + + - - ー

検査 + - ALL + - ALL

腹膜炎徴候 1 4 7 11 1 88 5 95 89

腹部膨満 58 9 2 11 58 31 67 33 89

嘔吐 64 10 1 11 64 25 74 26 89

体温≧38.5℃ 3 1 10 11 3 86 4 96 89

心拍数≧100/分 18 3 8 11 18 71 21 79 89

白血球≧10,500/μL 28 8 3 11 28 61 36 64 89

発熱 59 10 34 44 59 89 69 123 148

頻脈 72 21 23 44 72 76 93 99 148

低血圧 11 10 34 44 11 137 21 171 148

昇圧剤使用 2 5 39 44 2 146 7 185 148

腹痛 132 40 4 44 132 16 172 20 148

腹部圧痛 111 34 10 44 111 37 145 47 148

腹部膨満 95 26 18 44 95 53 121 71 148

筋性防御 20 17 27 44 20 128 37 155 148

反張痛 8 8 36 44 8 140 16 176 148

意識障害 5 8 36 44 5 143 13 179 148

WBC>12,000 38 20 24 44 38 110 58 134 148

HBO3<20 10 13 31 44 10 138 23 169 148

持続痛 10 10 5 15 10 28 20 33 38

腹膜刺激徴候 2 2 13 15 2 36 4 49 38

HR>100 1 3 12 15 1 37 4 49 38

WBC>12000か<4000 14 10 5 15 14 24 24 29 38

体温>38か<36 1 2 13 15 1 37 3 50 38

反跳痛 29 25 2 27 29 17 54 19 46

体温>38 0 18 9 27 0 46 18 55 46

頻脈 15 20 7 27 15 31 35 38 46

WBC>15000 0 20 7 27 0 46 20 53 46

血液濃縮 20 24 3 27 20 26 44 29 46

アミラーゼ上昇 2 10 17 27 2 44 12 61 46

ALP高値 3 7 20 27 3 43 10 63 46

代謝性アシドーシス 0 4 23 27 0 46 4 69 46

発熱≧38 14 4 41 45 14 174 18 215 188

筋性防御 71 29 16 45 71 117 100 133 188

WBC≧10000 105 35 10 45 105 83 140 93 188

CRP≧7.5 20 13 32 45 20 168 33 200 188

ペンタゾシン無効 7 21 11 32 7 335 28 346 342

発熱≧37.5 20 3 29 32 20 313 23 342 333

腹膜刺激徴候 6 25 7 32 6 328 31 335 334




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