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つわりが強ければ女の子!?

雑誌:総合診療の7月号の特集は

新時代の「在宅医療」——先進的プラクティスと最新テクノロジー でした。

女医さんをリレー連載する”JOY" of the worldでは私の教え子の中山明子先生が寄稿していました。当時、エネルギッシュな初期研修医たちの中でもひときわパワフルな女医さんでしたが、その後も活躍の場をどんどん広げています。持ち前の明るさと枯渇することのないエネルギーから、「肝っ玉母さん」の異名を持つ彼女でしたが、この書籍ではプライベートな事まで臆することなく暴露してくれている。


私の連載「Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|医学と日常の狭間で|患者さんからの素朴な質問にどう答える?」のテーマは

つわりが強ければ女の子!?

でした。


つわりがなぜ起こるか、つわりで「嗅覚過敏」は起こらないなどについては、前回取り上げました(これはブログで紹介し忘れていましたが・・・)。


今回は、つわりが強ければ女児の可能性が高くなるという報告の紹介です。機序は不明ですが、数万人規模の研究で繰り返し一貫としてその傾向が示されており、疫学的に正しいものと思います。ただ、傾向は軽度であり、つわりの程度をどう客観的に評価するのかが難しいため、占い程度と思ったほうがよいとは思います。

Nurmi M, Rautava P, Gissler M, et al. Incidence and risk factors of hyperemesis gravidarum: A national register-based study in Finland, 2005-2017. Acta Obstet Gynecol Scand. 2020;99(8):1003-1013. PMID: 32030718

Fell DB, Dodds L, Joseph KS, et al. Risk factors for hyperemesis gravidarum requiring hospital admission during pregnancy. Obstet Gynecol. 2006;107(2):277-284. PMID: 16449112

Basso O, Olsen J. Sex ratio and twinning in women with hyperemesis or pre-eclampsia. Epidemiology. 2001;12(6):747-749. PMID: 11679806

Veenendaal MVE, Van Abeelen AFM, Painter RC, et al. Consequences of hyperemesis gravidarum for offspring: A systematic review and meta-analysis. BJOG An Int J Obstet Gynaecol. 2011;118(11):1302-1313. PMID: 21749625


Mitsuda N, Eitoku M, Maeda N, et al. Severity of nausea and vomiting in singleton and twin pregnancies in relation to fetal sex: The Japan environment and children’s study (JECS). J Epidemiol. 2019;29(9):340-346. PMID: 30416162


なお、比較的年齢の高い妊婦さんや痩せている妊婦さんは、悪阻は軽く済むという傾向があります。つわりは毒物摂取を防ぐ機構という考えがありますが、体力的に余力がない場合は、つわりを起こすほうが栄養障害で胎児に悪影響を与えるためと考えると考えられます。「つわりという試練は、乗り越えられるものにしか訪れない」と言うと格言ぽいですが、乗り越え難く入院となることもあるのが、つらいところです。


なお、ジンジャー(生姜)がつわりに有用という報告があります。個人的にはジンジャーティーやジンジャークッキーなどいろいろ試しましたが、つわりに効いたとは正直思えませんでした。

Kannan Sridharan, Gowri Sivaramakrishnan. Interventions for treating nausea and vomiting in pregnancy: a network meta-analysis and trial sequential analysis of randomized clinical trials. Expert Rev Clin Pharmacol . 2018 Nov;11(11):1143-1150. PMID: 30261764


その後「内関」というツボがつわりに有用という報告を知りました。最近のネットワーク・メタ解析ではプラセボ群より有意に効果があり、制吐剤(オンダンセトロンやメトクロプラミド)と同等であると評価されています。自分の妻には試すことはありませんでしたが、もしどなたか試して効果あれば教えてください。

Sridharan K, Sivaramakrishnan G. Interventions for treating hyperemesis gravidarum: a network meta-analysis of randomized clinical trials. J Matern Neonatal Med. 2020;33(8):1

405-1411. PMID: 30173590

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