「医学と日常の狭間で」をテーマとした雑誌「総合診療」の連載も2年となりました。
今回はカリウム制限について考えます。
そもそも生野菜や果物を食べるとカリウムが高くなるのでしょう? 動物だって同じ生物なのにそんなに電解質組成が異なるのでしょうか? というのが素朴な疑問の始まりでした。
いつも通り割愛して説明するので、詳しくは書籍をご覧いただきたいですが、
野菜や果物のカリウム含有量は重量当たりで考えれば肉や魚と同等であるが、野菜や果物は大量に摂取しやすいためにカリウム負荷の要因として重要である。
食材100gあたりのNaとK含有量。動物には細胞外液があるのでNaが多いが、K含有量は同程度です。
しかし、デザートにグレープフルーツをつまめても、デザートに同じ重量のステーキはお腹が受け付けません。野菜・果物は沢山食べることができるため、注意が必要なのです。
葉物野菜は茹でこぼすことでカリウムを半分程度にすることができるが、根菜は茹でこぼしの効果は乏しい。
小松菜・もやし・ブロッコリーなどは茹でこぼすことでカリウムを半分以下にすることができますが、根菜などの硬い野菜ではカリウムがほとんど減りません。
茹でこぼしてもβカロテンは減りません。ビタミンCは茹で汁に溶けだしてしまいますが、さやえんどう、ブロッコリー、小松菜などでは十分量残ります。
ちなみに、熱によるビタミンC崩壊と、細胞崩壊に伴うビタミンC流出は1:9ぐらいの割合のようですので、多少の加熱ならばビタミンC不足となりません。
冷凍された葉物野菜は食感とビタミンCは失われるが、カリウム負荷をかなり減らすことができ、彩り・βカロテン・食物繊維を補うには優れている。
生わかめはカリウムが多いが、湯通し塩蔵わかめを茹でたものはカリウムが非常に少ない。
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