エビデンスに基づくフィジカルを意識することはもちろん大切だが、その前提としてフィジカルの熟練度を高めることはもっと重要だ。フィジカルマスターの基本は「百聞は一見にしかず」である。そこで本増刊号では、文章のみではなく、内容に応じて写真やイラスト、動画、録音も収載した。
※動画・録音は特別付録であり、公開期間は2025年3月末までとなります。
ということで、動画・録音付きというのが良いところです。そして増刊号だけあって分厚く勉強しがいがあります。
私の担当は後腹膜スペースや腹壁ということでしたので、腸腰筋徴候、腸腰筋試験、受動的腸腰筋試験、閉鎖筋試験を図説しました。
後腹膜出血を示唆する所見として皮下出血がありますが、臍周囲(Cullen徴候)、側腹(Grey Turner徴候)以外にも大腿近位部(Fox徴候)、陰嚢(Bryand徴候)、恥骨~鼠径部(Stabler徴候)にも注意して診察しなければなりません。つまり、下着もずらして診察させてもらわないといけません。
閉鎖孔ヘルニアを示唆するHowship-Romberg徴候はいつも言葉だけではうまく伝えられないので(股関節を進展・外転・内旋というだけでは伝わらず「靴の裏に張り付いたガムをみる肢位」と説明をしてきましたが、これだと立位のままで診察するのかと誤解されることもしばしばありました。)動画としました。やはり動画は情報多いですね。一目瞭然です。Hannnington-Kiff徴候は以前紹介した記憶がありますが、Howship-Romberg徴候と同じく閉鎖孔ヘルニアを示唆する所見です。同じL2-4支配の膝蓋腱反射は導出するのに、閉鎖神経が関与する大内転筋の腱反射は導出しない場合に陽性とするものです。大内転筋の腱反射は時々どうやってとるの?と聞かれるので、動画をアップしておきます。
腹壁についてはHooking maneuverやCarnett試験、ACNES/LACNES/POCNESに対するPinch試験、流行性筋痛症における横隔膜付着部位の圧痛確認について言及しています。
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