田中医院の田中善啓先生、渡辺西賀茂診療所の小原章央先生を中心に、丸太町病院と病診連携の症例検討会を開催していただきました。丸太町病院からは総合診療科の医師、看護師、薬剤師、入退院支援相談室、地域連携室、リハビリ、栄養士と、多職種の方々にご参加いただきました。
私が臨床医になることを決めたとき、ひとつの夢がありました。「一人の人を総合的に診られる医師になりたい」という、医師ならば誰もが抱く夢です。しかし、その夢を実現するためには、3つの垣根が立ちはだかっていました。
1つ目は臓器別診療の垣根です。当時は総合診療がまだ十分に普及しておらず、私は初期研修医を通常2年で修了するはずのところを、3年間かけて研鑽させて頂きました(3年目は給料が後輩よりも安かったことを覚えている)。現在では、多くの仲間に恵まれ、周囲の理解も得られるようになりました。これには本当に感謝しています。
2つ目は職種間の垣根です。これについては年々改善されていると感じます。たまたまですが、今日は急遽骨髄検査を行うことになりましたが、検査室の人手が不足していました。最初は難色を示されましたが、私がお手伝いすることでなんとか検査を行ってもらうことができました。もっとも、実際には久しぶりすぎてマイクロピペットも碌に使えず、私が足手まといになってしまいましたが…。検査技師さんと話す時間ができた事で、なぜ丸太町病院では土曜日にでも急な検査をすることがあるのかの理由を共有でき、患者さんのためならばと笑顔で手伝っていただけたのは非常にありがたかったです。今回の症例検討会でも、これほど多くの職種の方々が集まってくださったことは、とても嬉しく感じました。
3つ目の垣根は、診療の場です。たとえば、救急外来と在宅診療の違いです。今回の症例検討会を通じて、この垣根を越える一歩を踏み出せたと感じています。立場や考え方に違いがあっても、「一人の人を、そしてその家族を含めて幸せにしたい」という同じ目標に向かって歩みを揃えることこそ、分業化が進む医療において最も大切なことの一つではないでしょうか。今後ますます開業医との連携を深め、開業医とともに地域に貢献できる病院に発展させていきたいと思っています。
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