國松淳和先生の新たな著書です。
これまた独特の切り口です。
24の『ブラック・ジャック』のエピソードをとりあげ、全12章で、
・難病・病態を再検討し、現代医学から再診断する ・難題(難病・悪条件)に取り組むプロフェッショナリズムのお手本としてのブラック・ジャックを拾い上げるという試みです。
実は医学の中では、過去の症例を限られた記録から診断を絞るという一つの分野があります。私の好きなショパンは肺が悪く結核であったという定説がありますが、家族歴があるのに恋人のジョルジュ・サンドは発症せず、伝染性疾患ではなく遺伝性疾患ではないかと考察され、解剖記録のレターや、現存のホルマリン固定された心臓の肉眼的所見などを組み合わせて、αアンチトリプシン欠損症が疑われるなどという論文が出ていたりします。
世界の偉人の死因がなんであったかを専門で研究している先生の話を聞いたことがありましたが、とても興味深かったことを思い出しました。
この書籍ではブラックジャックの診療記録(カルテ)がマンガとして残っているため、それを解析して現在の医学の知識をメスに切り込みます。読んでみれば新たな視点に驚くはずです。まさか、そうか、確かに、と読み進めるほどに納得することでしょう。ブラックジャック世代じゃない人は、まずは該当するカルテを読んでからこの書籍を読むことで、この書籍の深みが良く分かると思います。
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