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献本御礼:治療 2020年7月号 特集 「摂食・嚥下障害の意思決定支援」

南砺市民病院という富山県にある175床の病院で救急・病棟・リハビリ・健診・在宅医療に携わっている大浦 誠 先生が特集を組みました。南砺市民病院と丸太町病院は規模が近く、総合診療医が内科全てをカバーするという同じようなスタンスの病院でもありますが、地域から求められている医療は異なるため互いに研修提携している関係でもあります。


さて、内容ですが、以下の目次からも分かるように認知高齢者の終末期という誰しもが遭遇するが、極めることは難しい領域に切り込んでいます。


■摂食・嚥下障害患者の意思決定支援で知っておいてほしいこと

摂食・嚥下障害の終末期なのかどこまで検査をすればよいのか

認知症であれば意思決定はできないのか

人工的水分・栄養補給法のメリット・デメリットをどのように伝えるか

胃ろうにするか中心静脈栄養にするか ─人工栄養が選択されたときに─

人工的水分・栄養補給法を選択しないことの難しさ


■摂食・嚥下の意思決定モデルにもいろいろある

Shared Decision Making(共同意思決定)を中動態の視点で考える

摂食・嚥下障害におけるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)に内包される課題

コミュニケーションを重視したDNAR 指示(POLST)は,医療における重要なACP である

ACPをどうやってプランニングしていくか ─看護師の専門性を活かした患者の思いを上手に聴けるような工夫─

信念対立による倫理的ジレンマを解決するためにできることは何か


■さまざまな場での摂食・嚥下の意思決定支援の具体例

在宅療養支援診療所(ものがたり診療所を例に)

中小規模病院(南砺市民病院の臨床倫理コンサルテーションを例に)

地域包括ケア病棟とExtensivistの活用

摂食・嚥下障害の意思決定支援 救急医療の現場から

“老衰"と診断すること


■まとめ

摂食・嚥下障害の意思決定支援に王道なし


この書籍は筆者から一つの答えを与える一方で、読者に考えさせ各々の答えを出すように問いかけているようです。胃瘻造設はだれのためなのか? 老衰という死亡診断名は家族にとってどういった影響を与えるか? 

摂食嚥下障害の患者さんや認知症高齢者の終末期を診療する機会のある医師であれば、今一度この書籍を読みなおすことで、より深い診療ができるようになるのではないでしょうか。

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