総合診療には枠組みを作ってはならない。もしその枠から漏れた患者を診ないならば総合診療の存在意義がないからだ。強いて枠組みを作ったとしても、その枠にはまらないことが前提であるべきともいえる。
とは言っても、自分たちが必要とされている場を明確にしたり、他者から理解されやすい適切な呼称を用いる事は必要である。
今回は病院勤務医でも家庭医的な目線で診療を行う(行っている)ことを宣言した「病院家庭医」なる用語が本のタイトルだ。執筆者の幾人かは丸太町病院で働いてことがあり、彼らの云わんとすることは非常によく分かっているつもりだが、とても適切な用語を選び出したものだと関心する。
同じ総合診療医といっても奇病好きのSpecialist、院内Generalistの趣のあるHospitalist、家庭医、形式上だけの総合診療医などに分けられる。その内容は皆が”総合”を名乗っている割には互いに共有できていない。今回の書籍がHospitalistと家庭医の橋渡しとなり、勤務医と開業医の診療ギャップを埋める一助となってくれるのではないかと期待する。
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