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献本御礼:症例から学ぶ栄養素欠乏

誰もが出会う栄養素欠乏。でも主役として脚光を浴びることは少ない疾患群だったかも知れない。少なくても「栄養素欠乏科」のある病院や大学はない。

もちろん医師であれば鉄欠乏、ビタミンB12欠乏に出会うことは日常茶飯事であり、ビタミンB1欠乏、ビタミンD欠乏、亜鉛欠乏に驚くことはない。日本国内であっても、飽食の時代であってもなお、栄養素欠乏は避けて通ることのできない問題である。

 少し前ではあるが、丸太町病院でも壊血病の症例があった。最近はビタミンB3欠乏症の症例が、続いてビタミンB6欠乏症(ビタミンB6欠乏については本書の対象外)の症例を診療した。様々な栄養素欠乏を知っておくことは医師として必須であると思われる。銅欠乏やビタミンE欠乏、セレン欠乏などをすべて熟知しているという医師は多くはないかも知れないが、本書を読むと今まで見落としていたのではないかと不安になる。それほど栄養素欠乏はピットフォールとなりうる病態であり注意が必要である。

 本書は第1章症例クイズから始まる。実際に雰囲気を感じることで身近な問題として捉えることができる。第2章は各論で歴史的背景から診断・治療までの要点を簡潔にまとめてくれている。最終章は疾患領域別となっている。最終章は循環器医・消化器医・神経内科医・血液内科医・内分泌代謝医・小児科医・産婦人科医・皮膚科医・眼科医・外科医も栄養素欠乏に精通する必要があることを教えてくれる。幅広い医師にとって役立つ書籍であると思う。


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