この書籍は匿名(腹痛を「考える」会)による執筆です。本の価値は「誰が書いたか」ではなく「何が書かれているか」で決まるべき+α の考えにより医学書としては今のところ例外的な匿名本となったそうです。
しかし、本の中味をみて誰が書いたかすぐに分かりました。私個人は間接的に接したことしかない著者の先生ですが、これほど腹痛のメカニズムについて真剣に悩み、失敗した症例を大事にし、結果として他に類にみない造詣の深さを持った茶髪先生(あれ?金髪だった気も)はいません。
虫垂炎は心窩部痛から始まるのか、臍周囲痛から始まるのか? 左下腹部痛で受診した患者さんが便秘ではないと言い切る理由は? などなど興味深いテーマに対して自分の経験と調べ上げた論文をもとに、なるほどと思わせる理論で解説してくれます。
腹痛診療に関わる内科医、小児科医、外科医、救急医、研修医に是非、手に取って頂きたい良書です。
腹痛といえばCope (Cope's Early Diagnosis of the Acute Abdomen)というのが相場でしたが、これからは「腹痛の「なぜ?」がわかる本」略して「腹なぜ」が流行りそうです。
Comments