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褥創外用薬について

院内製剤の整理のため2015年の褥創予防・管理ガイドラインに目を通しました。2012年の改訂版から内容自体にさほど大きな変更はないように思われましたが、まだまだエビデンスが非常に乏しい世界であることを再認識しました。 外用薬で十分な根拠があり行うよう強く薦められるという推奨度Aのものはなく、根拠があり推奨度Bのものを○、根拠は限られているが行ってもよいという推奨度C1のものを△で示します。

上記から当院で採用されているものだけを抜き出し、使いたい状況別に分け自分なりの意見を加えます。(一般名から商品名に変えています)

急性期外傷や浅い創傷

まず外傷やびらん・浅い潰瘍などに関してはアズノールがオール・マイティな記載がされています。しかしすべて△の印です。具体的にいうとアズノールに関する有用性に関して引用している論文は1958年のレベルVIの論文一つのみで、あまりに乏しいデータです。アズノールは安価で抗炎症効果などを期待してよく使われる製剤ですが、個人的には見た目と匂いが人工物な感じであまり好きではありません。アズノールには接触性皮膚炎の報告例もありますので、私は白色ワセリンを好んで使用しています(自分の顔に塗るならどっち?と聞かれればワセリンを選ぶ医療従事者が多いと思います)。他の薬剤は薬価からみて選択する理由が乏しいでしょう。

感染を伴う褥創

感染を伴う褥創(いわゆる黒色~黄色期)では、ゲーベンとイソジンシュガーパスタの2剤が優れています。 両者とも薬価もさほど高くはありません。ゲーベンは緑膿菌にまで抗菌作用が及ぶようにスルファジアジン(テラジアパスタ)に銀が加わったものですが、硬く乾燥した壊死組織を浸軟させたいときに好まれます。一方、イソジンシュガーパスタは浸出液を吸収してくれる作用に長けていますので、当院でも使用頻度が高い薬剤です。カデックスをわざわざ選択することはまれです。ブロメラインは壊死組織を化学的にデブリする場合に用います(パイナップルで肉を溶かすのと同じ理屈)が、正常組織に悪影響を与えないように注意しなければなりませんので選択する機会は少ないのが現状です。

肉芽形成や上皮化を期待する褥創

肉芽形成や上皮化を期待するいわゆる赤色~白色期におぃて、創傷治癒が良好であればアズノールを用いてもよいです(私なら白色ワセリン)。しかし、実際にはなかなか治癒しないことが多いため少しでも治癒を早くすることを期待してプロスタンディン軟膏やアクトシンが用いられますが(当院にはオルセノンはない)薬価が高いことに注意です(100g処方したら5000円以上します)。イソジンシュガーパスタはこの時期においても有用性が証明されているオールマイティーさが素晴らしいです。 困った時にはフィブラスト・スプレーの効果が期待されますが、薬価は1万円以上で2週間以内に使い切らなければいけない製剤です。値段に見合う効果があるかどうかには当然疑問符が付きます。

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