Parenteral Hydration in Patients With Advanced Cancer: A multicenter, Double-Blind, Placebo-Controlled Randomized Trial
J Clin Oncol 31: 111-118
食事量が低下した末期癌患者に,病院ではなんとなく点滴,ホスピスでは点滴なしで見られていることが多いが,エビデンスが少ない.
1000ml vs 100mlで比べたら差がなかったというもの.
P: 18歳以上の再発,または転移癌患者.飲水も低下してきており,turgor低下,mild~moderateの脱水がある患者.
exclusion: 妥当なもの.
I/C: 1000ml/日 vs 100ml/日の末梢点滴
Primary Outcome: ESASというscoreによって症状を評価.
研究方法
double-blind multicenter RCT
割り付け
computer generated randomization scheme
目隠し
患者と評価者
100mlとばれない様に,900gのおもりをつけて,箱で囲う.投与速度もバレないように速度の部分にシールする.
さらに,最後に自分はどっちの群だったと思うか聞いてみる.
と,頑張って目隠ししている.
他の介入
oral intakeの記載がないという致命的な事実.
ITTと書いているが,どうみてもmodified ITT
size
scoreで4.2点の差を検出するのに,α=0.05, β=0.20で,脱落15%と分で150人(75人/arm)
結果
そもそもfundingの関係で,nが予定通り集まらなかった.
脱落も多いし,脱落を含めていない.含められないといえばそうだけれど,ITTではない.
患者背景は,ほぼ一緒.あまり気になるものはなかった.
baselineからの改善は,有意にどちらでも見られた.改善度は,有意差なし.
Kaplan-Meierはこんな感じ.crossしているが,そもそも差が小さい.
nが足りないことも影響しているか,30日以上はnが減りすぎて,そもそも載せるべきでないかもしれない.
というか,普通Kaplan-Meierで記載しなければならない下段の数字がない.
つっこみどころが多いstudy.
言えることは,1000mlの方が有用であるとは言えないということだけ.
しかし,nが足りないため何ともいえない.negative studyであるため,nが予定通りに集まっていないことは重大な問題.
1000mlという数字は,過去のstudyで良い結果(1000ml vs 100mlで1000mlの方が有意に良かった)が得られたから選ばれているわけだが,100mlのnon-inferiorityを証明したいのであれば,非劣性試験としてstudyを組まなければいけない.
まぁ本人の状態みて決めれば良いのではと思ってしまう試験.
ただし,なんとなくターミナルの体格の小さい人に1.5L/日とかは間違ってもしない.