固有のまたは先天的な(獲得されたものではない)抗菌薬耐性を内因性耐性といいます。
「AMPCのみ耐性のKlebsiella pneumoniaが検出された」というカルテをみると、分かって記載しているのか、それともAMPC感性のKlebsiella pneumoniaが存在すると理解しているのか悩みます。間違えた抗菌薬選択をしないように、今一度復習。
まずは腸内細菌群における内因性耐性です。
Klebsiella pneumonia 、Citrobacter freundii/koseri、Enterobacter cloacae などはABPCの効果はもともと期待できません。
Citrobacterの中ではfreundiiだけが名前の通り?名前に反して?なれなれしい嫌な奴で、ペニシリン・セフェムが効かないパターンですが、koseri では逆にPIPCだけが効かないパターンです。
Proteusの中ではP. mirabilisだけは感受性良好なのでβラクタムに対する内因性耐性はありませんが、P. mirabilis以外のProteusやMorganella、Providenciaは第1世代セフェム、テトラサイクリンやコリスチンにも内因性耐性です。これらを想定する繰り返す尿路感染では第1世代セフェムだけではなくAMPC/CVAも耐性のことがあるので経口抗菌薬での治療に悩むことになります。
当院ではまだ困ってませんが、セラチアもコリスチンが効かない問題児ですので、多剤耐性となったら手が付けられません。
Salmonellaは第1・2世代セフェムは検査室で感受性あっても臨床的にダメ
CLDMやマクロライドも効果ないのでそもそも検査してはいけません。
非腸内細菌群
AcinetobacterはABPC/SBTが有効(特に日本)だが、AMPC/CVAはダメ。
Pseudomonas aeruginosaはST合剤ダメ。
ここで上がっている菌はすべてホスミシンダメ
Stenotrophomonas maltophiliaはカルバペネム耐性。MINOやDOXYはOK。
Staphylococci
Enterococcus
セファロスポリンが耐性なのは常識として、CLDMやST合剤も耐性なこと知っておきましょう。
最近E. casseliflavusでVancomycinが自然耐性なのは症例を通じてみんな覚えました(かな?)。E. faeciumがAMPC耐性なのは自然耐性というわけではないようです。