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Y

普通の副鼻腔炎に抗菌薬は必要ない.

Amoxicillin for Acute Rhinosinusitis

A Randomized Controlled Trial

JAMA. 2012;307(7):685-692

特に合併症なさそうな副鼻腔炎(歯性や視力障害などがない)には,原則的に抗菌薬処方しませんが,それを改めて確認した論文です.

Patient: 18-70歳までの,CDCのcriteriaで,moderate~very severeの患者.

基準としては

①上顎洞痛,あるいは顔面 or 歯の圧痛,および膿性分泌があって,1週間以上4週間以下の期間,症状が続いている.

②1週間以下でも症状が憎悪傾向.

除外基準は妥当なもの.

Intervention: AMPC 500mg tidを10日間

Control: 見た目も臭いも同じplacebo

Outcomes day3でのSNOT-16という評価項目での改善度合い.0.5点以上で有意と考えられるscoreとのこと.

多施設RCTでdouble blind

computerによるランダム化

対症療法の薬は使って良いが,抗菌薬使用は禁止.

size

SNOT-16で0.25点の差を検出するのに各arm 100必要.

ITT解析.missing dataを補完しても同じ結果だったので,missing dataは除いたものだけ論文に掲載しているとのこと.

結果

80程度と予定より足りない.

baselineは同じ.

副鼻腔炎の症状も同じ.

結果.

day 7では若干,AMPC群で症状がよかったが,平均の違いがSNOT-16で,0.19程度.

その他は有意差なし.

自覚症状の改善などのsecondary outcomesの結果も同様.副作用もほぼ似たようなもの.

対症療法薬の使用も同じ.

結果.

そもそもnが予定より足りていないのでなんとも言えないが,SNOT-16で0.25点と意味があるかもわからない差を検出するのに100必要で,結果だけ見れば,あと20増えたところで有意差はつかなそう.ついたとしても,0.25点と意味の無い差.

ということで,本当に副鼻腔炎なのか?というようなものが多く含まれているのでなんとも言えないが,逆に,なんとなく副鼻腔炎みたいな症状の人にはやっぱり抗菌薬投与の意味はないと言える.

実際の所,歯性上顎洞炎や,視力障害を伴っている様な副鼻腔炎の場合,抗菌薬のみならず歯科治療,手術も必要なことがあり,そのリスクを予想できることが重要.

実際,そこに関しては当院では,レジデントはみんな,う歯の有無,歯の叩打痛などを確認してくれている様です.

副鼻腔炎繋がりで少しでた話としては,篩骨洞メインなら好酸球性副鼻腔炎だとか,Onodi cellによる視力障害をともなった副鼻腔炎(正確にはmucocele)があるよねという話が出ました.

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