今回の特集タイトル、結構好きです。
「臨床は小説より奇なり」。世の中に溢れかえるナゾ処方を取り上げた特集です。
使いたくないクスリ
効果が乏しいクスリ
危険な処方
悲しい処方
ナゾな処方行為
を取り上げており、必見です。
ポリファーマシーの重要さは総合診療医ならば誰もが身に染みて感じていることと思います。 私が研修医の時に掲げた10か条は今でも丸太町病院で引き継がれていますが、 その9は「医療と傷害罪の違いは善意か悪意だけの違い。いかなる薬剤も自分の安定剤代わりに処方するな」です。 注釈として外来患者の25%で薬剤副作用(N Engl J Med. 2003;348:1556) 、入院の14%は医原性疾患により入院(JAMA. 1991;265:2815)していることから、すべきか分からない治療はしないのが原則(Do No Harm & No Do処方)としています。 「Do処方」は医師としての思考停止であり、恥ずべき事であると教えていますが、10年経過しても医療は同じ場所にいます。これには深い理由があると最近感じていますが、それを言い出すと非常に長くなるので、機会を改めていずれ書き。
いずれにせよ、薬を始める勇気は(たとえ無知であっても)期待感が後押ししてくれますが、薬を止める勇気を与えてくれるのは貴方の理性だけなのです。医者は理性で動くと私は信じたいです。
本題の医学書院「総合診療」連載中の「日常診療で使うクスリと、日常診療に潜むリスク」6月号分の報告です。
今回はジギタリスを取り上げました。私は慢性期のRate controlにジギタリスを使うことはほぼほぼありませんが、急性期にはβブロッカーなどと組み合わせて使っています。
ジギタリスは使いこなせばよい薬だが中毒も多い。
ジギタリス中毒では食欲低下をきたすことが多いが、高齢者では視覚異常も認めやすい。
自動能亢進と伝導障害が関与し様々な不整脈をきたしうるため、血中濃度は低め(0.5-0.8ng/ml)に維持することが大切である。
血中濃度が高いと死亡率が高い。昔定められた基準値に騙されないように!
不整脈はさまざま
特に特徴的な不整脈としては房室ブロックを伴う心房頻拍(PAT with block)、房室接合部頻拍、両方向心室頻拍
珍しいのは頻脈性心房細動と脚ブロック
ジゴキシン必要量(μg/日)は体重(kg)×CCr÷30で推測できるが、正確な予測は難しい。
メチルジゴキシンは吸収率が良いためジゴキシンの7割の投与量でよい。
グラフは書籍のほうが、きれいにトレース&編集したので見やすいです。