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残尿あるかではなく、困る事が起こりそうか、で決める。

術後の尿閉に対して、どこから介入すべきかという報告。 我々が問題とする患者層とは異なるものの、参考になります。 股関節/膝関節置換術後の患者800人に対して500mlの残尿(最初の自尿があるまで超音波で確認)で関与するか、800mlの残尿まで待つべきかを検討した。

RCTではあるが、オープンラベルの封筒法ではある。追跡率は90%。 我々の患者群と比較すると平均69歳とは若いし、アルコール症・糖尿病性神経障害・パーキンソン病の頻度が低いため、急性尿閉の割合が多そうであることが異なる。

500ml群では32%でバルーン留置となったが、800ml群では13%のみであった。 尿路感染発症率や、尿路症状に差異はなかった。

Anesthesiology 2016; 124:1256-64 先日も尿道バルーンを長期留置されており残尿は700mlぐらいありましたが、尿道バルーンを抜去したところQOLは明らかに改善した高齢者がいました。 若年健常者では200mlほどで十分尿意は感じるでしょうし、500mlも貯まれば膀胱内圧がかなり上昇し、水腎症のリスクも出現します。しかし高齢者では慢性的な尿閉で膀胱が伸展されており、1000ml貯まっても膀胱はまだまだ弛緩している人もいます。このような場合、1)ある程度の残尿を許容し、溢流性尿失禁として排尿するのと、2)尿道バルーン管理する のではどちらがよいのか?  残尿の量そのものではなく、残尿による二つの問題(尿路感染、腎後性腎不全)のリスクを個々の症例で判断していく必要があることを、今回の論文から再確認しました。

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