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ドーピングについて一般内科医が知っておくべきこと。

ロシアのドーピング問題を受けて、我々医師が「うっかりドーピング」をしないために

一般内科医が処方してしまいそうな2016 年 WADA 禁止医薬品例

ドーピングといえば蛋白同化ホルモンというほど有名ですが、「うっかり」しうるホルモン製剤もあります。 エビスタ(SERMs):エビスタを骨粗しょう症のクスリだからと出してしまわないように。ステロイド軟膏はOK。 坐薬:血管収縮剤や糖質コルチコイドなどは競技会(時)禁止物質なので強力ポステリザンはダメだが、ポラギノールMは良い。

インスリン:筋肉におけるグルコース利用・アミノ酸貯蔵→蛋白合成効果あるため禁止されている。これは知りませんでした。経口糖尿病薬やGLP-1はOK。

http://yukoji.com/Diabetes/preparation.html

スピロペント(気管支拡張薬):β2刺激薬は交感神経興奮作用+蛋白同化作用があるとして「その他のタンパク同化薬の禁止医薬品例」に含まれています。β刺激薬の吸入は適正量なら問題はありません。 フィブラストスプレー:装具を用いるパラリンピックでは問題となるかも。

利尿薬:体重規制のある競技(柔道や重量挙げなど)で使用したり、禁止薬物の検出を隠すための”隠蔽薬”の異名があるそうです。 ラシックスのみならず、アルダクトンやダイアモックス、サムスカまですべてダメですが、点眼の炭酸脱水素酵素阻害薬はOK プロベネシド(ベネシッド)も隠蔽薬扱い

競技会中は禁止のもの 精神興奮を高めるようなものとしてエフェドリン、エフピー(PD治療薬)は一般医でも処方しうるため注意。アドレナリンも当然含まれますが、競技会中じゃなければ使用可能なのでアスリートのアナフィラキシーは迷わず投与を。 意外なものに精神を落ち着かせることが大事なダーツやゴルフなどの疾患ではβ遮断薬が禁止。アーチェリーと射撃では競技会外でも禁止。

監視プログラムに含まれているグレーゾーンの薬剤 カフェイン トラマドール(麻薬はもちろんダメ) テルミサルタン(なんでだろう?)

一般用医薬品・要指導医薬品と健康食品・サプリメント 風邪薬:多くの商品で禁止物質のエフェドリンやメチルエフェドリン等が含まれている。 鎮咳去痰薬:トリメトキノール、メトキシフェナミンは禁止物質。メジコンはOK。 鼻炎用薬:奮薬として禁止されるプソイドエフェドリンが配合 鼻づまりの点鼻薬、点眼薬:ナファゾリン等の血管収縮剤は、何回も多量に使用するると、ドーピング違反が疑われる可能性があります。 抗アレルギー薬:禁止物質が配合されていることが多く、注意が必要 胃腸薬:ストリキニーネ(禁止物質)を含有する生薬ホミカが含まれることがある。 風邪薬の必要性はそもそも懐疑的なため、急性上気道炎や急性胃腸炎では普段からアセトアミノフェンや乳酸菌製剤ぐらいの処方にしておけば悩まない。

滋養強壮薬:蛋白同化薬(テストステロン)及びホルモンの関連物質を含む漢方薬、また、禁止物質であるストリキニーネ(ホミカ)が含まれているものがある

漢方薬:麻黄にはエフェドリン(特定物質)やメチルエフェドリン(特定物質)、プソイドエフェドリン(特定物質)、ホミカにはストリキニーネ(特定物質)、半夏にも微量ですがエフェドリン類 → 処方しないが無難 毛髪・体毛用塗り薬:男性ホルモンが配合されているものがある 健康食品・サプリメント:外では、ラベルに表示しないまま不正に興奮薬やステロイドなどの医薬品成分を添加したサプリメント製品が多数流通し、そのような製品による陽性も毎年報告されている → 世界アンチ・ドーピング機構(WADA)は、スポーツでのサプリメントの使用を推奨していません

必須ではない薬/サプリメントを安易に処方/推奨すると、選手生命を絶つことになりうるため、内科医として最低限のことは知っておきたい。

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