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京都府医師会 総合診療向上講座 日常診療で使う「クスリ」と日常診療に潜む「リスク」②を講演しました。

前回に次いで同じような内容で講演させて頂きました。

お忙しい中、先生方には130名ほどご参加いただいたようで大変うれしく思います。

内容は、

  • 抗血栓療法の併用を長期で行うべきときは少ない。

  • NOACはワルファリンと比較して消化管出血を減らさない。

  • 抗血小板薬・抗凝固薬以外で消化管出血を増やす薬とは

  • カルバマゼピンで薬疹が出現した場合には三環系抗うつ薬との交差反応に気を付ける

  • 薬剤熱の診断には非核三原則が参考にはなるが、疑ったら薬剤中止が鉄則

  • 薬剤熱と薬疹は2-3週間以内の新規薬剤が疑わしいが、薬剤性肝障害は3か月以内の新規薬剤を疑う。

  • 薬疹の特殊系、DIHS、AGEP。薬剤熱の特殊系、血清病様反応と薬剤性ループス

などなどでした。

 今回の企画を通じて、薬剤副作用やポリファーマシーへの対策は病院医と開業医の連携が大事と実感しました。病院から開業医の先生へ紹介する時には薬剤調節をすること、投薬期間を明らかにすること。それをちゃんと出来ていないと、漫然とした処方につながりうることを肝に銘じておきたいと思いました。

 なお、私は専門医ではないので特殊な薬を開始することは少ないですが、入院時にはすべての薬剤の必要性を再吟味するのが、総合診療医として最低限の仕事と心得ています。今まで医原性疾患を1000例以上経験しているためか、個人的にも興味のある分野と感じておりましたが、開業医の先生方もポリファーマシーや不要な薬剤について感心が高いことが確認できよかったです。しかし多くの先生が、患者への説明の段階でつまづいている現状が浮き彫りになりました。医師がポリファーマシー対策をしないのはもはや許されないこととなってきていますが、次の課題は患者教育です。

 当院での待合室ポスターは3か月で張り替えをしていましたが、唯一張りっぱなしなのが抗菌薬の適正使用を促すポスターです。しかし、興味のない人や間違った信念を抱いている人に正しい情報を与えることや、行動変容をさせることは至難の業です。

 この改善には生活指導で培ったノウハウや、今回の講演でも少し触れましたが認知行動療法に準じた対応が有用な可能性があります。小グループ・ディスカッションでいろいろなアイデアを出すような勉強会が良いかも知れません。特に患者との関係を大切に生活指導をしている開業医の先生方や精神科の先生からの意見は大変貴重と思います。今後機会があればより良い勉強会に発展させていきたいと思いました。

 ご参加いただいた先生方、ありがとうございました。

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