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JC:周術期のPirfenidone:はっきりしているのは「効果」ではなく「高価」

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Ann Thorac Surg. 2016 Aug 18. pii: S0003-4975(16)30601-4. doi: 10.1016/j.athoracsur.2016.05.094. [Epub ahead of print]

Effect of Perioperative Pirfenidone Treatment in Lung Cancer Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis.

EndFragment

背景

特発性肺線維症の急性増悪(AE-IPF)は、IPF患者のための肺癌手術における生命を脅かす合併症で、かつ有効な予防法はこれまで報告されていません。本研究では、AE-IPFの発症リスクを低減する抗IPF剤の周術期治療効果を調べます。

2014年の論文の続報で以前の報告の患者も含む。

方法

2006年10月から2014年10月に当院で手術を受けたIPFを呈した肺癌患者の50人をレトロスペクティブに検討しました。解析者も盲検化などはしていないのでバイアスは非常に入りやすい。

2009年9月から、ピルフェニドン経口投与を手術4週間前から4週間後まで行いました。31人の患者が周術期ピルフェニドン治療(PPT)を行い、PPTを受けなかった19人の患者とで臨床転帰をレトロスペクティブに比較しました。

膠原病肺は除く。

介入は術前2-5週前からピルフェニドン投与。600mg/日で開始し、1200mgできれば1800mgまで増やし、1-4週間維持してから手術に臨む。術後は出来る限り維持。

予測される出血量は倍近く違う。なんらかのBiasあるんでは?

結果

2群間で年齢、喫煙歴、性別、肺活量、KL—6、手術法、リスクスコアに差異はありませんでした。PPT/非PPTグループのAE-IPFの発生率は、術後30日以内では3.2%/21.1% (p [ 0.07] )で、術後90日以内では3.2%/21.1% (p [ 0.04])でした。

ロジスティック回帰分析は、術後30日以内(P[0.04])および90日以内(P[0.045])のPPTおよびAE-IPFの発生率との間に有意な関連を示しました。

ピルフェニドンに関連する術前有害事象には、5例の悪心があった。術後段階で6例の悪心、3例の光過敏性、1例の便秘、および1例のアミノトランスフェラーゼ増加が観察されたが全てグレード1の有害事象であった。ピルフェニドンの合併症のために手術を延期または中止した患者はいなかった。術後合併症には、PPT群で3つの肺瘻(グレード2)、1つの創傷合併症(グレード1)、および2つの上室性頻拍(グレード1)。Non-PPT群で肺気腫(grade 2)、創感染(grade 3)、急性冠動脈症候群(grade 2)、上室性頻拍(grade 2)これらの2つの群の間に有意差は観察されなかった一般的に、我々が前の研究で報告したように、ピルフェニドンによる治療は可能であった。

すべての患者は、1〜6ヶ月ごとに肺癌の外科手術の外来診療所で5年以上追跡。

Progression free survivalが2000日後には3人しか残っていない。これらはどんな理由で脱落したのか?

塩野義製薬から資金提供を受けている

結論

肺癌患者における術後AE-IPFに対するPPTの予防効果が示唆されました。さらに確証的な前向き研究では、PPTを考慮すべきです。と筆者は述べている。

コメント:IPF急性増悪の高リスク群にターゲットを絞った興味深い報告ではあるが、後ろ向きのnが小さい単独の研究であり残念ながら信憑性は低い。1錠697.5円、4週間で116877ー175770円、1年で一人当たり153-229万円。つまり、はっきりしているのは「効果ではなく高価」です。

添付文書によると副作用は光線過敏52%、食欲不振23%、胃不快感14%、嘔気12%などで全体の88%に認められたそうだ。「期待するのは効果、遭遇するのは副作用」といいうことになりかねない。

総合診療科医が使用すべき薬剤投与法ではない。

(逆に安価で副作用の少ない薬剤(乳糖とかビオフェルミンとか)で偶然のp値で有意差でたら、それを論文化して欲しい。そうすれば患者さんも安全にすがるものができてよいのに。)

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