21世紀適々斎塾 第7回 2日目は新進気鋭の感染症・総合診療医による『熱』について熱く語るセッションです。
忽那賢志(国際医療研究C) 佐田竜一(亀田総合病院) 國松淳和(国際医療研究C)
の今勢いに乗っている豪華講師陣です。
忽那先生は海外渡航歴の問診です。
海外へ渡航する人はさほど増えていないが、海外から渡来する人は激増している(国の政策らしい)。だからプライマリケア医でも海外渡航歴のある患者の診療はできないといけない。 これはちょうど内科学会誌でも取り上げられていたHOTな話題ですね。 発熱、下痢、皮膚症状のある患者ではまず海外渡航歴を聴取すること! 暴露歴、渡航地、潜伏期をちゃんと確認することで病原体がかなり絞れる。どうやって聞くべきなのか、これはF先生にまとめてもらおう。 ペットボトルの水以外信用するな、カットフルーツもダメ → 腸管感染症、腸チフス、HAV 雨季はマラリア、乾季には髄膜炎菌が流行する。
「Fit For Travel」 http://www.fitfortravel.nhs.uk/home.aspx はスマフォにもインストールできるけどドイツ語でしか対応していなそうでした。
性行為感染症(多剤耐性淋菌)が日本から英国に持ち出されたことがNEJMに掲載され、日本国内のHIV感染患者は2万5000人を超え、梅毒が増え続けいる現状から、性行為感染症の重要性にも触れました。口唇病変、腹痛、咽頭痛、皮疹、関節痛でちゃんと性交渉歴が確認できるかが大切。なぜなら内科医が診るSTDは医師が疑わなければできないものが多いため。 5P:Partners(人数・性別・特定), Practices(Oral analなど), Protections, Past history of STDs、Prevention of pregnancy. 赤痢アメーバ、HAV、赤痢、ジアルジアは糞口感染ならぬOral anal sexで伝播することがある。 DU節も健在。
佐田先生は勢いあり面白いセッションとなりました。
会場から意見を言いやすくする雰囲気は素晴らしかったです。 肩関節の診察。これは最近レクチャーしてなかったから院内でもまたレクチャーしなくては。 External rotation lagは普段使ってなかったので勉強になりました(棘下筋の評価としては行いますが筋力左右差で診る方法でやってました)。
國松先生は「圀松熱」の話。
奇病率はプライマリケアでも地域でも一定割合でいる。 だからそういった病気もしらなければならない。
聞いたことある病気はどういう時に疑うか「取り敢えず疑ったときにするべきメモ」を作っておくとよいかも。リケッチア疑ったらダニ刺された可能性はどのぐらい遡って確認する? 皮疹はどこに注目する?など。
家族性地中海熱を3年で30例経験したそうです。多いなあ。当院では2年に1例ぐらいでしょうか。注意すべきは虫垂炎、胆嚢炎、PIDなどの繰り返しと誤診されていることが多いようです。以前、当院でも虫垂切除率が高いことを勉強会で発表したことを思い出しました。あとは個人的には子宮内膜症ですね。月経周期と一致して増悪する。
再度一コマずつご講演頂きました。
圀松先生の症例:若年女性の2年間時々出現する高熱。CRP陰性。
佐田先生の症例:高齢女性の1か月前に転倒してからの労作時呼吸困難、微熱。
転倒が原因でなければ感染症としてあれば結核? 悪性腫瘍? 甲状腺は一度チェック?
転倒してから動けないという経過を信じるならばDVT→PEも考えるが、動き回っていたらしく造影CTまでチェック済み。
破傷風としては潜伏期3-21日に合わない(症状がそこまで進行してきていない)。
70歳で腰曲がっていて、色白で・・・、、なるほど。薬剤歴は追加したものだけではなくやめた薬も聞こう。
両者を合わせてCRP陰性の発熱疾患について鑑別にあがったもの
ウイルス感染、脳膿瘍、SLE、Behcet、薬剤熱、うつ熱、詐病、発症から1日以内、肝不全、血管芽球性T細胞性リンパ腫、猫ひっかき病、甲状腺機能亢進症、副腎不全
忽那先生の症例:
インドネシア帰りの患者。暴露歴、渡航歴、潜伏期を確認!!。
最初は潜伏期合わないと思ったが、ちゃんと聞けば1か月前にも2か月前にも渡航歴が・・・。
海外渡航者の診療で最も大事なのはやはり、病歴なんだなあと実感。
症例はあえて伏せてありますので、F先生、院内Shareをよろしく!