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単なる尿管結石? 閉塞性尿路感染?

尿管結石症で尿をチェックする意義は血尿の確認ではなく、膿尿・細菌尿の確認にあります。

しかし、完全に閉塞してしまった尿管からは膿尿・細菌尿が流れ出ず、膿尿・細菌尿で確認できない閉塞性尿路感染も中にはあります、というお話。

Ann Emerg Med. 2013 Nov;62(5):526-33.

症例は尿管結石症360例で、うち28名(8%)で”尿路感染”があると判断された。

発熱や尿路感染や免疫不全の既往があること、CVA叩打痛が高度、白血球増多があることなどは尿路感染を示唆するものの、診断特性としては不十分。例えば37.9℃以上の発熱は尿路感染群の32%でしか認められていない。

それでは尿定性ではどうか。白血球エステラーゼ定性が陰性でもLR 0.2であり否定するのは難しい。亜硝酸塩を合わせても同じようなもの。

尿沈渣でWBC<5であったとしてもLR 0.3で尿路感染は否定できないという困った結果。

尿路感染のReference standardは10 CFU/ml以上の菌量が尿培養で確認することとなっており妥当な基準ではありますが、結局本当に尿路感染なのか無症候性細菌尿なのかはわかりません。尿路感染群の2/3ぐらいは”尿路感染”ではなく無症候性細菌尿だった可能性があり、限界があると判明したのは臨床所見ならびに尿定性沈渣ではなく、定量培養の信頼性のほうであるとも言えます。

そういった限界があるものの、尿管結石をみたら尿路感染を否定しよう、否定したと思っても「発熱時はすぐに再診」という説明もしよう、というメッセージ性はあります。

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