救急外来での高血糖。補液やインスリン皮下注により血糖を下げ350mg/dL以下となれば安心してよい一つの目安として、帰宅基準というのがあるらしい。
それはホント? ということをCohort研究で確認した報告。
Ann Emerg Med. 2016 Dec;68(6):697-705.
救急外来を受診し血糖が400mg/dL以上だったが帰宅可能であった566症例をエントリー
I型DMは除外基準。
高血糖が主訴の半数ということは、自己測定している人が多いようだが、アル中も11%、腹痛6%と色々な患者層。血糖の平均は491mg/dLでHbA1c 10.7(2.8)。
尿検査が65%でしか行われていないことに驚きだが、尿ケトンはそのうち23%で陽性。
補液は79%でしているのに、生化学は73%でしかしていない。必要なことしかしないというスタンスでしょうか。補液量は2.1Lと外来にしてはしっかりしています。
インスリン皮下注射は69%で施行され、平均12.2単位を投与。
血糖は157mg/dL下がり334mg/dLで帰宅。
これを4時間半かけて行っている。
糖尿病に対する処方は30%でおこなっており、当直帯の対応というよりはしっかりとした対応をしている施設での研究のようです。
ただし、それでも医原性低血糖は2%で生じていることは忘れてはいけない。
来院時血糖と帰宅時血糖を示したグラフ。どうでもいいですが、まれに血糖がむしろ高くなっても帰宅している人がいるんですね。
7日以内に出戻りした患者(濃線)も出戻りしなかった患者(薄線)も来院時血糖や帰宅時血糖に大きな差異はないようです。
多変量解析でも来院時血糖、帰宅時血糖、補液量、インスリン投与量と予後に有意な関連性はなし。
高血糖にひっぱられ過ぎることなく、なぜ血糖が高くなっているかを考える事、そして救急外来であってもより長期的視点で 血糖管理の事を考えることが大切である、というメッセージです。