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拡張現実(AR)は幻肢痛を救う

  • U
  • 2017年1月15日
  • 読了時間: 2分

10年以上前、神経内科の先生に教えてもらった本 「脳のなかの幽霊」 V・S・ラマチャンドラン著は驚くべき内容だった。鏡を使ったカラクリで、幻肢痛に悩む患者の手や足が存在しているような錯覚、動いているかのような錯覚を与えると、幻肢痛が消失するというものだ。

それが科学の力でパワーアップして論文に登場。

Phantom motor execution facilitated by machine learning and augmented reality as treatment for phantom limb pain: a single group, clinical trial in patients with chronic intractable phantom limb pain.

Lancet. 2016 Dec 10;388(10062):2885-2894.

対象は幻肢痛に平均10.3年悩む14人の患者。

疼痛評価、電極基準マーカーを装着し、ARの世界で運動練習、さらに仮想の腕をつかってレーシングカーのゲームをしたら仮想の腕を画面上で動かす訓練を週に2回2時間のセッションを12回行う。

1,3,6か月に効果判定を行う。様々な指標を用いても疼痛は改善している。

ADL、睡眠も改善している。

対照群のない報告ではあるが10年続く症状を改善したことと、治療終了後6か月も効果が残存していることからプラセボ効果ではないように思う。もしプラセボ効果だとしても10年の幻肢痛に悩む患者を無侵襲で救った意味合いは大きい。薬剤も減らすことができている。特殊な機器を要したことが臨床応用における最大の障壁だとすると、ラマチャンドランが行った鏡の方法がより現実的なのかも知れない。

 
 
 

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