本日は名古屋で亀井道場でした。
今回も実際の患者さんの診療を行うことになりました。
10年前からあるめまいでした。
長期間のめまいが単なる内耳の障害によるものであれば代償していくはずですし、脳幹の5D(dysethesia、Dysphagia, Dysarthria, Diplopia)がないので中枢神経疾患も否定的と考えました。(ただし一過性の耳閉感や難聴があり聴神経腫瘍は嫌だなと思い、過去のMRI検査が正常であることを後で確認しました。)
この主訴の時点では反復する内耳性めまい(BPPVやメニエール病)と非内耳性・非中枢性めまいの2つを中心に鑑別したいです。
病歴では寝返りで誘発する5-10秒のみ持続するめまいがあり、BPPVをまずは考えました。起立時にはさほどめまいは起こらないようで、頸部回旋とも関連がありません。ただし、蝸牛症状があるのはBPPVでは説明が不可能でした。この蝸牛症状は微妙でめまいとは関連が乏しく、数秒のみ持続ということだったので普段なら気にしませんが、一時期は聴力検査で難聴が確認されていたとのことです。しかし自覚的には難聴なく、現在は聴力障害はありません。さらに、フレンチェル検査で持続的な眼振が他覚的に確認されていたようです。こうなるとメニエール病も鑑別に加える必要がでてきます。中年女性、ストレス誘因ありだったので矛盾はしませんし、ややこしいことに1-2日続く持続的なめまいの事もあったようですので、BPPV+メニエールも病歴からは完全に否定することはできません。
眼振が確認されることが多いとのことで、診察してしまったほうが早いな、ということで眼振をみると右眼内斜視あり、右眼に軽度水平性眼振あり。右眼は弱視がありその影響が疑われます。結局、頭位変換では症状誘発できず、間欠期の診察では診断がつかないということになりました。その後、心理社会背景も色々明らかになり、不安による影響も強かったようで、どこまでが器質的疾患かを詰め寄るには公開問診では難しいと考え、終了としました。
その後、Dix-hallpike、Epley, Supine roll, Gufoniなどを解説・実演し終了としました。質問も多く出て適宜お答えしましたが、今回のケースで片頭痛性めまいについてもう少し深めれば良かったと後からちょっと反省しました。
診察と解説を並行して行うと、忘れてしまうものが出てしまいます。この診察方法は普段の診察でも、不安の強い患者さんや家族には喜んで頂けることがありますので、時々行ってはいるのですが、結果として後から電話して追加問診する羽目になることも度々あり、まだまだ修行が必要ですね・・・。