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JCS2022 – 第86 回日本循環器学会学術集会・APSC2022 – Asian Pacific Society of Cardiology Congress 2022で講演しました。

循環器学会はWEBであっても、しっかりとしていますね。お陰様で?とても緊張致しましたが、なんとか無事終わりました。

以下の錚々たるメンバーの中、私のお題は「プライマリケアで心筋炎をどう疑うか?」です。プライマリケア医が早期に心筋炎を見つけるとしたら、やはり病歴だと思うのです。「かつてない倦怠感を伴う感冒」をみたら、急性心筋炎と急性肝炎を考えるという一般的な話をまずはしました。心筋炎を想起できないことが、次のステップにつながらない問題点であり、若年男性でも心疾患はありうると認識することが大切です。心電図は循環器の先生がみれば異常がほとんどの症例でありますが、私はプライマリケア医が心電図やエコーで心筋炎を除外してはいけないと思います。除外の検査に使うとしたら客観的で感度の高い指標であるトロポニンのほうが良いでしょう。

なお、1年前からはCOVID-19ワクチン後の心筋炎が問題となっています。10—20代、男性、モデルナ>ファイザー、2回目以降がリスクで、接種1週間以内が要注意です。ただし軽症が殆どであり、10代であってもICU入室を減らす効果のほうが高いため、気にしすぎる必要はないのですが、プライマリケア領域ではよく相談される事柄です。なお、今後COVID-19の株変化で軽症化が進んだ場合や3回目以降のワクチン接種に対するリスク・ビネフィットはまだまだ不明です。ところでCOVIDワクチン後心筋炎が軽症なのは、真の心筋炎ではないかも知れないという話があります。EFが保たれ、LEGが軽度のみならず、M心筋の障害部位に特徴があるというのです(Radiology . 2022 Feb 15;212559. Online ahead of print. 

過去には激症心筋炎の病理所見の報告がありますが(N Engl J Med . 2021 Sep 30;385(14):1332-1334.)、今思えばワクチン接種後10—14日後の発症であり非典型的です。これもつい最近の病理所見の報告では心筋炎所見というよりはたこつぼ様心筋症に近いと報告されています(Arch Pathol Lab Med. 2022 Feb 14. . Online ahead of print.)。よくACE2受容体が心臓に多いために、COVID-19ワクチンでは心筋炎が発症しやすいとも言われます。そう考えると病理的には真の心筋炎とはならなくても良いようにも思います。ランゲルハンス島にもACE2受容体が多く、ワクチン後の糖尿病ケトアシドーシスの報告も散見されることも関係づけられるかも知れません。新しいワクチンの話なので、まだまだ分からないことが多いですね。


他の先生方は「心筋炎の診断に心筋生検は必要か?」「心筋炎診療にウイルスPCRは必要か?」「心筋炎と免疫抑制・調節療法」「心筋炎と機械的補助循環管理」「A world perspective: The management of acute / fluminant myocarditis」でした。私としては大変勉強になりましたが、下手にコメントするとボロがでるので止めておきます。

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