在宅診療について~家でできること、できないこと~
8月22日にイトウ診療所の伊藤照明先生をお呼びして在宅診療医の立場と病院勤務医の立場から、在宅診療の長所・短所を確認し、高齢者診療のありかたや、在宅診療と入院診療の連携について考えました。
平たく言えば生活の場である在宅で可能な限り頑張って、必要な時だけ治療の場である病院に入院する、「ときどき病院、ほぼ在宅」という原則にたどり着いたように思います。
もともと総合診療医は目の前の患者がどんな患者であれ、自分のできるベストを尽くすという医師で(あるべきと思っていま)す。ですから臓器別に自分の守備範囲を分けませんし、本来は急性期や慢性期という分類もそぐわない、と思ってきました。しかし、経営上の問題から、あるいは国の政策により、思うような入院加療が必ずしもできる訳ではありません。また不慣れな勤務医が片手間に在宅診療を行うことが良い事とも思いません。そこで病院勤務の総合診療医としては在宅診療医との信頼できる関係構築が欠かせないわけですが、この数年で在宅診療に力を入れている開業医の幾人かの先生達と合同で勉強会などを行い、お互いに信頼できる関係が少しずつ出来てきました。今回もその一環ではありますが、地域の住人の意見を聴けたことは大変良かったと思いました。
(↑当院からは長野先生に講演してもらいました。最後に私が司会して総合討議と質疑応答。)
「地域で最後までみる」という言葉がありますが、これは必ずしも在宅で看取るということを意味している訳ではありません。在宅診療医と病院勤務医がシームレスな協力体制を整えることで最後まで責任を持って一緒に支えることを意味します。この辺りは誤解されやすいことが分かりました。今回の会は、我々医師と患者さんとの間の認識や想いを共有するための大きな一歩になったと思います。
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