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フォンタン術後患者のCOVID-19肺炎に対して陽圧換気で循環動態の破綻と低酸素血症を来した症例~救急医の立場から:フォンタン循環患者カードの作成の提言について~

日本成人先天性疾患学会に論文が掲載されました。


フォンタン術後の患者は,体静脈循環が肺動脈へ直接還流する血行動態を有しており,高い陽圧換気では循環動態が容易に破綻する.

今回,フォンタン術後であることが事前に判明していなかったCOVID-19肺炎の20歳代男性に対して陽圧換気を行ったところ,循環動態が破綻し低酸素血症を来し,VA-ECMOで救命し得た症例を経験した.


 このような重大な病態を抱えているとは患者本人からも当初はかかりつけ病院からも情報が得られませんでしたが、ばち指を有していること、SpO2が低くても全く呼吸促迫を認めないこと(こちらはCOVID-19によるHappy hypoxiaと誤認してしまいましたが)は、普段から低酸素血症を有する重大な先天性心疾患であったことを示唆していました。

 フォンタン循環では低酸素血症に対してPEEPをかけるほど、余計に低酸素血症が進行し、気づけば循環破綻に至ってしまいます。つまり、一般的にCOVID-19の呼吸不全で推奨されている管理方法とは全く異なる管理が必要になります。すべての救急医・感染症科医・呼吸科医・集中治療医にこの病態を知って欲しいと考え、論文投稿しました。


2019年にCOVID-19が蔓延して以来,本症例のようにフォンタン術後患者を内科医・救急医・集中治療医が診療するケースは増えている.しかし,フォンタン循環に対する高い陽圧換気の危険性についてはあまり知られていない.本症例を通じて,フォンタン術後患者で希望される方には,フォンタン循環の治療における注意点等が記載された『フォンタン循環患者カード』(別記)を携帯できるように提言する.



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