娘が1年前に、中学1年で42.195kmを夜通しで歩くという企画を完遂しました。なかなかマネできない偉業だと思いましたが、父親として張り合ってみました。というのも、子供が生まれた時に小学生までは褒めて伸ばすが、中学生では大人げなく張り合いながら伸ばし、高校は娘から嫌われないように怯え、大学からは一人の大人として認めることをイメージしていたからです。(他の理由としては執筆のネタのために過度な運動したかったのもありますが、そのことについては時を改めて説明したいと思います。)
コロナ禍のために、購入したルームランナー。本当は42.195km走って父親の威厳を保ちたいところですが、運動不足の私にはフルマラソンを走るのは無理なので45km歩き、とりあえず娘の記録を抜くことに。いろいろ身体的に問題は起きましたが、目標達成しました。正味7時間半、休憩入れて8時間半。ホームランナー情報では3163.5kcal消費、5万8100歩でした。今晩はビールが美味しそうです。
医学的に思ったこと。
1. 靴ずれにはハイドロコロイド・ドレッシングを張るに限る。急に歩くと靴ずれできますね。私は20kmぐらいでソールのエッジがあたる部位に線状に痛みがでて発赤が。ドレッシング剤は張ったらすぐに痛みから解放され運動を続けられました。もし外で運動を始める人がいたら、ポケットにキズパワーパッド🄬などを忍ばせておけば憂いなし。運動始める患者さんには薦めたいと思う。
2. スマートウォッチは手が浮腫むかも。光学センサーが感知するようスマートウォッチを少々きつく巻いて歩きました。気づくと手が握りにくい。見た目はさほど変わらないようにも思いますが、よくよく見ると左手のほうが静脈が怒張し関節伸側のしわが少ない。前腕をきつく締める、歩行中は上肢を振り下げる事で遠心力も加わる(ランニングでは肘を屈曲させているのでそうはならない)、手を握ったりすることもないため筋肉ポンプが使われない、ことが重なり合って起こった現象と解釈しました。
浮腫の程度は軽かったですが、この程度でも握りにくさが出ると考えると、更年期に手指腫脹を深刻に訴えるのもわかる気がしました。この程度の浮腫を客観性をもって判断するには「指輪がきつくなったかどうか」を問診では確認しますが、リングゲージを用いたPIP関節腫脹評価が研究で用いられることがあるのも理解できます(日本手外科学会雑誌 (2185-4092)31巻3号 Page321-324(2014.12))。
3. 低Na血症に注意。マラソンで低Na血症が起こることは有名です(N Engl J Med. 2005 Apr 14;352(15):1550-6.)。予測因子は4時間以上走ることと、体重が増加することです。自由水をとりすぎてしまうことが問題なんですね。確かに今思うと合計4Lの水分を摂取しましたが、前半3時間は尿意なく、初めての尿は濃縮尿少量でした。その後身体が暑くて水分摂取量が増え、後半は多尿傾向となりました。脱水もよくないが、自由水だけとるのも良くない。自宅での長時間運動は水分摂取が容易なだけに気を付けたい。
4. tennis leg(腓腹筋内側頭部分断裂)について。今回起こるならば腸脛靱帯炎か鵞足炎かと思っていました。腸脛靱帯炎は内反癖、鵞足炎は外反癖があると起こりやすいので、歩行フォームを意識したためか、幸いな事これらの兆しはありません。しかし腓腹筋内側頭に一致した痛みが出現しています。もしかして筋断裂だったら嫌だなと思い超音波検査で確認してみたところ断裂はなし。翌日には疼痛改善、48時間後はほぼ疼痛なく単なる筋肉痛でした。Tennis legにおいて治療方針変わらないならば超音波検査してもコストかかるだけで勿体ないとも思っていましたが、筋断裂に至っているかどうかで回復過程は異なるので、今後の経過を予測するのに5,000円(3割負担で1500円)の価値を感じるならばやっても良いと患者側に立つと思いました。ちなみに筋がたわむと低エコーにみえることがあるので、仰臥位で膝をまげて膝窩にエコープローベを当てるか、腹臥位ならば足をベッドから出すことで足関節を背屈できるようにしておくと見やすいと思います。
丸太のメンバーが続々ダイエットに成功しているので、私一人だけメタボのままではいられません。定期的な運動を心掛けたいと思います。
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