心理面・感性にも考慮した京都発の介護食及びその関連商品・サービスのブランド「京介食」というのを最近知りました。せっかく京都の病院ですので取り寄せて試してみました。
まずは和菓子屋さん(美濃与食品株式会社)が手掛けた、嚥下食ピラミッドL2相当の和菓子です。
たしかに、飲み込みやすいですが、見た目はちゃんと楽しめます。一般人が何も考えずに食べると、ちゃんとみたらし団子に見えるのに食べるとムースのような食感なので、ちょっと驚く感じです。紫蘇餅という変わり種もありますが、こちらはちょっと味にクセがあります。最初に試すならば、さくら餅が一番のお薦めです。ただし値段はさくら餅が一番高くて390円。カロリーは1つあたり54-82kcalなのでカロリー摂取を目的とするというよりは、たまにちょっと贅沢なデザートタイムを楽しむのに使うと良いのではないでしょうか。
京介食とは関係ないですが、毎年お正月には餅窒息で救急外来を受診される方が増えます。そのようなリスクを減らす、「さっくりお餅」も紹介しておきます。お餅の風味はしっかり残しつつ、歯切れの良い食感にこだわりました。20個入り1180円+送料。
こちらは意見が分かれました。餅の食感を楽しもうと思うと無理がありますが、別物と考えればアリです。調理時間が無かったのでレンジでチンし、べたべたしたまま試食してもらったので、ちょっとマイナス評価に傾いていると思います。今度はトーストで外をカリッと少しさせて醤油も垂らして再チャレンジ予定です。
食事を食べる器も大事です。こちらの食器は見た目だけではなく、スプーンで掬いやすいように工夫されたものです。漆器のアソベ 清水焼団地協同組合が開発したそうです。これは購入できるかわかりませんでしたので、取り寄せていません。
京料理せんしょう さんは、やわらか京料理を提供しています。刻み食、ペースト、流動食でも料亭の味を楽しめるということで、お値段は張りますが「プライスレス」な価値を得ることができそうです。お届けもあるのでいつか病院に取り寄せて皆で試食してみたいです。
漆器のアソベさんは、漆塗りのスプーンを作りました。誤嚥対策のため小さなスプーンを使って掻き込まないようにすることはよくあるシチュエーションですが、このスプーンなら高級感があるので小さなスプーンにされても満足してくれるかも知れません。不思議なことに食器に高級感があると、味も高級な気がしてきます。
試してみると確かに握りやすく、安定性が良いです。よくあるスプーンとは材質が異なるため、認知症患者さんの中にはスプーンという認識をしてくれない事があったことには注意です。お値段は3520円とそれなりにしますので、当院では入院中に試してもらって良さそうならご家族に相談するという方法にしています。
最後に、斗瀞酒(ととろさけ) 雅香(みやこ)です。京都伏見という本場で作られた日本酒ですが、嚥下機能に問題があっても飲めるように、”とろみ付”の日本酒となっています。とろみ濃度は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会が発表している学会分類2013の「薄いとろみ」を基準としているそうです。
既存の日本酒にとろみ調整食品を使用するだけでは、風味が変化することがありますが、この「雅香」は日本酒の美味しさを楽しんでいただけるようです。「これならば大丈夫である」とは安易には断言できませんが、医者はなかなか思いつかないであろう製品であり、興味深いです。これは180ml瓶しか販売されていないのは良心的ですね。取り寄せて皆で試飲してみたいところですが、病院で試飲する訳にはいかないですね・・・。
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