演題は
「高齢者における身体診察の心(こころ)と術(わざ)」
以前ACPで話をした内容のVersion Upです。
北里大学メディカルセンター 大村記念館 で行いました。
北里大学メディカルセンターは埼玉県大宮駅から車で45分ほど。
写真を撮れば良かったですが、見た目はバカンスに訪れたリゾート施設。
広く開けた緑地がキレイに整備され、テニスコートもあったようで(今は駐車場になったとかいう噂)、テニスの大会とかが行われる会場にも思える感じ。
田舎者の私の心を揺さぶります。
大村記念館とは2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智先生を讃え作られた記念館です。
ギャラリーがスゴイ。
1題目のタイトルは「B型C型肝炎ウイルス検査実施状況について」
講演を聴きながら肝炎の治療全般について思いをはせていました。
非専門医にとってHBVやHCVの治療は理解が難しくなってきていますが(特にHCVのIFN フリーDAA 治療)、非代償性肝硬変を含むすべての C 型肝炎症例が抗ウイルス治療の治療対象 であるとされており、単に高齢というだけで治療の機会を失わせることのないようには注意しなければいけないことはプライマリケア医も知っておくべきことと思います。より詳細を知りたい人は日本肝臓学会から毎年ガイドラインが無料で公開されているため、それを参照にするのが良いと思います。このガイドラインはiPhoneでも「肝炎治療GL」というアプリで確認できます。ただこれは更新されていないのでむしろ誤解の元にならないように廃止したほうがよいと老婆心ながら思っています。もし肝臓病学会の偉い人見ていたら更新もしくは廃止お願いしたいです。
大病院の?共通の悩みとして、病歴や身体所見を軽視して検査所見に頼る風潮が研修医の中にあるようです。北里大学でも研修医にもっと身体所見の重要性を分かって欲しいと言っていました。それで私を招聘してくれたそうです。確かに丸太町病院の印象のままで質疑応答していたら、ちょっと変な感じがあったのはその風潮の違いですね。後で気づきました。
診断がついてからが初期研修医のお勉強が始まる。その診断に病歴がすべて合致するのか、教科書に書いてある身体所見がどれだけ合致するのかを勉強させてもらう。それを続けた研修医は診察だけで診断できるように徐々になっていきます。それをしない人はいつまで経っても検査をしないと(場合によっては検査しても)何も診断できないダメ医者になっていきます。
検査の診断特性を勉強すれば、検査第一主義がいかに馬鹿げたことかはすぐに分かるかと思いますが、研修医を取り巻く環境を考えたら研修医ばかりを責めることも出来ないですね。
「AsessmentなきPlanは無謀か暴挙のいずれかである」と私は思いますが、幾人もの臨床研修担当者が「検査を取り敢えず出さないと怒られる」と研修医が言うことを嘆いています。上級医の問題、看護師の問題、患者家族からの不要な検査要求、経営陣からのプレッシャーが関係しているようで、一筋縄ではいかない問題です。
研修医とは世の中をしらない若造である、ということに異論を唱えるつもりはありませんが、無垢な研修医だからこそ、彼等には本当に正しい医療を経験させてあげることが、今後の医療をより良いものにするのではないか、と思います。そのようなことを許容できるような研修制度と医療制度になって行けばいいんですけどね。とりあえず不要な検査は一切しないということを許容してくれる当院の方針に感謝します。
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