総合診療 2021年 2月号 特集は
肺炎診療のピットフォール COVID-19から肺炎ミミックまで
でした。
現在進行中のCOVID-19パンデミックにおいて医療者の助けになる企画、すなわち肺炎診療をテーマに取り挙げています。
私の特集は男指です。胎内でのテストステロン暴露により男性では第2指より第4指が長くなる傾向があります。ただし、個人差が大きく信頼性の高い指標ではありません。顔を見た方が判断できるんじゃないかと思います。
ただし、先天的に性ホルモン異常がある状態を推測するには役立つと思います。つまり、
・先天性副腎皮質酵素欠損症では、第2指長<第4指長となりやすい。
先天性副腎皮質酵素欠損症の中で最も多い21水酸化酵素欠損症(あるいは11β-水酸化酵素欠損症)はコルチゾールの合成障害のためACTHが高値となります。一方、テストステロンの合成は保たれるためにACTHによる副腎刺激により男性化徴候を認めるのが特徴です。女児における男性化性器が有名ですが、男児なら指をみて見抜け、ということですね。一方、後天的な要因が強いPCOSでも男指の傾向があるという報告もありますが、一環とした報告ではなく、診断には役立ちません。
・クラインフェルター症候群では第2指長>第4指長となりやすい。
性染色体は多いほど高身長となりますのでXXYのクラインフェルターでは高身長ですが華奢で性腺機能低下(思春期来初遅延、精巣萎縮、無精子症、女性化乳房)を認めます。つまりテストステロンは少なく女指の傾向があります。
・ターナー症候群では第4中手骨短縮が特徴的である。
国試では外反肘や後頭部毛髪線低位も覚えた記憶がありますが、原因不明の低身長<5パーセンタイル(73%)、翼状頚(44%)、新生児期のリンパ浮腫(51%)、高口蓋(71%)、爪異形性(75%)、第4中手骨短縮(33%)、斜視(32%)が特に診断に有用な所見とされています。でも男指・女指の報告はありません。第4中手骨短縮のほうがよほど特徴的な所見だからでしょう。
図: 2D:4Dが低いと男指。先天性副腎皮質酵素欠損症は男性指。一方、クラインフェルターでは女性指の傾向がある。
男指・女指は、他にも性格、精神疾患、性嗜好、運動能力、悪性腫瘍、動脈硬化性疾患、変形性関節症、ALSとの関連も報告されていますが、今回は詳細は割愛します。
コメント