top of page
執筆者の写真Y

祝:内科学会で若手奨励賞受賞

とても示唆に満ちた症例と思い第230回日本内科学会近畿地方会で発表させて頂きましたが、我々の想いが認められました。


症例は呼吸不全で入院となった高齢女性。

軽度の誤嚥はあるが、胸部CTでもわずかな異常陰影のみ。肺塞栓も否定されている。

担当した研修医は酸素10L/分でも酸素化が全く改善しないことから、入院時にシャント疾患を疑った。高齢者でありPFOからのplatypnea-orthodeoxia syndromeを疑ってあえて臥位で管理したが酸素化改善は不十分であった。入院翌日にはバブルエコーを行って診断となった(なんという迅速な診断をするんだ、この研修医は・・・)。


今回の症例からはいろいろ学ばせて頂きました。誘因は誤嚥により無意識に行われたValsalva手技。右心圧を高め右→左シャント血流を増やしてしまいます。誤嚥リスクが高ければギャッジアップすることが多いでしょうが、POSが疑われればあえて仰臥位管理とする必要があります。またむやみに痰を吸引すると息んだり咳き込んだりして酸素化が余計に悪化することにも注意です。早期に診断することで適切な管理ができるようになりますので、手術適応のない高齢者であっても正確な診断を心掛けたいものです。


今回は指示が入らない認知症患者さんでした。超音波検査では検出率を高めるためにValsalva手技や咳をさせることが推奨されていますが、認知症患者さんでは難しいです。一方、高齢者では大動脈蛇行・瘤・脊椎後彎などによりPFOが顕在化しやすいというジレンマがあります。そこで今回行ったベッド上での前屈位と腹部圧迫法を薦めます。これは指示が入らなくてもベッドサイドで簡単にでき、診断に非常に有用でした。我々は認知症患者さんのPSVTを腹部圧迫法によるValsalvaもどきで治療することがありますが、同じメカニズムです。どのぐらい有用だったかは、論文化されたときに詳細を紹介したいと思います(今は手元に資料がないので、すいません)。





閲覧数:382回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page