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第115回日本精神神経学会学術総会で発表しました

第115回日本精神神経学会学術総会が新潟で行われました。陸路で6時間。

学会会場にお土産屋さん!! お酒まで売っている。さすがに飲んでいる人はいませんでしたけど。



身体症状症および関連症群の治療導入はどうすべきか?―最前線の臨床医による工夫―

というタイトルでシンポジウムを行いました。


精神神経学会が他科の先生を招聘したことは過去にあまりないそうで、私にとってのみならず、精神科の先生方に良い刺激となったと言ってもらえたことはありがたい話です。


身体症状症および関連症群の積極的診断と適切な連携―総合診療の立場から― ○上田 剛士 洛和会丸太町病院 救急総合診療科


  • 身体症状に関しては分野を問わず診療する総合診療という立場。

  • 精神科のない小病院で紹介の域値が高いため、身体症状症に対しても自分たちで対応している。

  • 器質的疾患の全除外は困難であり、器質的疾患と同時に非器質的疾患の可能性も積極的に診断していくことが必要。

  • 認知行動療法は内科医にとっても重要な概念となっているが、十分な応用ができているわけではない。

  • 心的要因にマスクされ身体疾患の存在が隠されていることがあり、常に器質的疾患と非器質的疾患の両者に対するアプローチが望ましい。

  • 一方で、ストレスや症状への囚われをさせないテクニックと、身体疾患の存在を暴くための診察は相反することがある。そのため、一人の医師が両者を管理していくことは時として困難であり、精神科医師との良好な連携が望ましい。


以下はメモ書きです。


身体症状症および関連症群における精神科医の役割の重要性と初期治療 ○富永 敏行先生 京都府立医科大学大学院医学系研究科精神機能病態学


  • Somatic symptom、Anxiety、Depressionの3者は合併するため、SADと称する

  • Major depression episodeとSSRDは疫学的には同数。内科には明らかにSSRDの方が多いのでちょっと驚き。しかし精神科医のMajorityな意見としてはSSRDはDepressionより重視されていないようだ(それを問題視して今回の企画が立ち上がっている)。

  • SSRDの診療の問題点の一つとして、精神科受診時にすでに長い経過を経てしまっていることがあるそうです。適切なコンサルトのタイミングを逃さないようにということですね。私はDSM-Vにおいて身体症状症や病気不安症の診断には6カ月持続と言う文言があり、これが問題であると感じていることを指摘していました。診断基準を満たさないうちに介入することが大事なのに、診断基準満たさないから大丈夫というのはちょっと違うと思っていたので、同感致しました。

  • SSRDを積極的に受け入れることができるマンパワーが精神科にあるかというと、それは「?」のようで、内科医も対応できる必要性を感じました。


身体症状症および関連症群の治療の円滑な導入および成功への戦略―薬物療法の立場から― ○名越 泰秀先生 京都第一赤十字病院 精神科(心療内科)

  • 几帳面な人は良く覚えているので、こういったこと起こしやすい。

  • 自律神経失調症という病名で器質的疾患と思わせる、ストレスのせいにする、環境のせいにするの3つはよくあるDON'T

  • 私は診断に関しての不安はある程度医師が引き受けるべきであると発言しましたが、名越先生は治療に対する不安に関してもそうであり、Placebo効果をうまく使うのがよいと発言。Nocebo効果でその後診療がうまく行かないことがあり、薬剤投与前に十分な信頼関係を築くことが何よりも大切。

  • 身体症状症では疼痛があっても効果があるのはセロトニン。だからSNRIじゃなくてSSRIを用いるべき。TCAもエビデンスはない。


身体症状症および関連症群の治療導入―認知行動療法の立場から― ○近藤 真前先生

名古屋市立大学大学院医学研究科 精神・認知・行動医学分野


  • DSMは原因無視の症候論。

  • DSM-Vの改訂の目玉としてはSSRDは「身体疾患で説明できないもの」という定義ではなく「身体疾患の有無には関わらず、症状に囚われていること」という定義になった。

  • 身体感覚増幅の説明から認知行動療法に入る。

  • 暗い道で後ろから音がしたら、とても気になります。意識を集中するので、わずかな物音や人の気配を感じ取れるかも知れません。それが現在起こっている状態です。

  • 地震後に揺れていないのに、揺れた気がすることがあるのも同じです。

  • この説明では身体疾患があろうとなかろうと構わない。

  • Acceptance and commitment therapy(ACT):苦痛を持ったまま、活き活きと生きることを目指す。

  • Creative hopelessness:今まで多くの検査や治療を受けて得たものは何か? 失ったものは何か ⇒ そんなことに労力を裂くことは役立っていない


司会は 宮岡 等先生(北里大学医学部精神科学)と明智 龍男先生(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野)に努めて頂きました。





  • その後、後会でDSM-Vの一つの診断基準を満たすから即診断ということは精神科医は行わず、すべての疾患の可能性を検討するので結果として複数の基準を満たすことが多いので注意して欲しいという話がでました。これはPIPC(Psychiatry In Primary Care)でも重要視している事ですね。

  • SSRIの使い分け。sertraline は日本では用量制限があるのでEscitalopramが良いのでは。効果だけならParoxetineで強迫性障害に対しては50mgまで使える。

  • 聞いてみたかったことも聞いてみました。精神科医からみて最も変わっている医師が多い科は〇〇科だそうです。


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