第21回 循環器 Physical Examination 講習会で講演させていただきました。 循環器 Physical Examination 講習会は質が非常に高い勉強会として知られており、いつか受講したいと思ってものです。まさか講師として参加させて頂けるとは思っておりませんでした。私の演題は「ショックの皮膚所見 ~臓器障害の評価~」です。
結構詰め込んだ内容で早口で話したにも関わらず、さらに踏み込んだ質問をいくつか頂きました。
まずは口頭で述べた内容で、スライド割愛していたので、それをシェアしておきます。sepsisの基準は1991年のSIRS+感染症という基準に始まり、2001年に細かすぎて使われなかった基準があり、2016年のsepsis-3に至ります。2001年の基準はあいまいで使いにくかった半面、網羅的ではあり、特に組織灌流障害として皮膚所見のCRT延長とmottlingが取り上げられています。この皮膚所見は臨床的には非常に有用であり、それを裏付けるデータを解説いたしました。
そしてこちらが、ご質問頂いた内容「皮膚所見は血管収縮薬の影響を受けないか?」に対するスライドです。時間の関係でスライドを省いてしまっていたんですよね。すぐにこのスライドを出せるようにしておけばよかったです。結論としては講演会でお答えしたように、mottlingの予後予測に対する有用性は血管収縮薬の使用とは独立した因子であると考えて良いです。もちろん高用量の血管収縮薬を早送りした場合、CRT延長が生じますので、影響を受けない訳ではありません。皮膚所見は臓器障害・組織灌流低下を反映する指標であり、血管収縮薬を増やすべきかどうかの指標ではないという理解が大切かと思いました。つまりmottlingがあれば輸液・輸血・血管収縮薬・強心薬のうちいずれかに介入すべきであるが、その選択については他の指標を用いるべきであるということです。
私自身、大変勉強になった会でした。特に今回調べ直して、
① CRT+下肢挙上試験で輸液反応性が予測できる可能性があること、
② 2時間毎に乳酸値をチェックするよりもCRTを30分毎にチェックするほうが、敗血症において予後を良くする可能性が高いこと
を知れたことはとても興味深く思っています。こんなに古くから知られたローテクな診察所見が、まだまだ発展できることには驚きです。実はこのことは循環器 Physical Examination 講習会で一貫して感じたことで、例えば心音の診察に関しても、それらの勉強の仕方についてもどんどん進化しているのを感じました。
日々、勉強あるのみですね。
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