自己免疫性GFAPアストロサイトパチーは髄膜脳炎や髄膜脳脊髄炎を来す疾患です。本症例では不随意運動や自律神経障害が出現したために一般的な無菌性髄膜炎とは異なる経過であり精査が行われました。髄液ADAが高値であること、MRIで側脳室から垂直に線状の異常信号を認めることから、自己免疫性GFAPアストロサイトパチーを疑い、抗GFAPα抗体の陽性が確認されました。
自己免疫性GFAPアストロサイトパチーはステロイドなどの免疫療法を通常は行われますが、自然軽快した希少な症例であったため報告しました。
髄膜炎にルーチンではMRIや抗体検査はしないと思いますが、不随運動や自律神経障害が出現した場合、結核ではないのに髄液ADAが高い場合には、自己免疫性GFAPアストロサイトパチーも鑑別に入れる必要があると考えられました。自然軽快しうることは、これまで診断されていなかった症例が多い可能性を示唆します。軽症例や自然軽快傾向にある症例に対する免疫療法の適応については今後議論がされていくものと思われます。
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