呉共済病院で3回目の講演となりました。
ショックの身体診察について講演させて頂きました。
敗血症の診断基準2001について今更ながら取り上げました。
1991年の基準であるSIRSについての項目も入っていますが、満たすべき項目数の定義がなく不明確な基準であり、項目数が多すぎて煩雑である上に、1991年の診断基準と比較して診断特性が向上しなかったために、ほとんど広まりませんでしたが、実は悪くない基準です。
2016年のSEPSIS-3で広まったqSOFAの項目も入っています。qSOFAはSEPSIS-3で急に出てきた感じもありますが、外傷領域では確か1990年ぐらいの報告でも重要なバイタル3項目として扱われていたので、臨床医からすると驚きがなく受け入れられる基準でもありました。
臓器障害の所見としては意識障害、尿量減少、皮膚所見の3つが臨床所見として評価可能です。ちゃんと2001年の基準には、皮膚所見が書いてありましたが、SEPSIS-3にのっとってqSOFA(あるいはICUではSOFAスコア)を重要視するがあまり、皮膚所見を軽視しないでほしいというメッセージを込めて今回の講演を行いました。
「組織灌流不良による臓器障害」はショックの定義そのものですから、皮膚所見の評価なくしてショックの診療はできないと思うのです。
例えば、膝の毛細血管再充満時間が延長しており6時間の初期治療に反応しなければ、救命は非常に困難ですが、毛細血管再充満時間が延長せずに順調に経過していれば6時間後には生存がほぼ確約されます。
Mottling(Mottled skin)も同じで、初期治療6時間でも膝周囲に留まらず鼠径にまで至れば救命は困難ですが、Mottlingがほとんど消失すれば峠を越したという説明ができるかも知れません。
2012年ごろからこの話をずっとしてきてはいるのですが、今年はWebinarが多く、ちょうど時間的に都合がよいので、同じテーマを繰り返し講演させていただいております。また同じ話か、と思われた方がおられましたら、申し訳ありません。
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