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Takeshi Ueda

総合診療医 ドクターG

 今月19-20日にNHKの番組である「総合診療医 ドクターG」の収録を行いました。以下ネタバレはないのでご安心を。12月ぐらいに放映予定らしいです。

 当然一般人向けの番組であるためそれなりに脚色が加わりましたが、病歴や身体所見の大切さを伝えるということはこだわらせて頂きました。救急外来であるにも関わらず診断まで検査を行っていません(というか結局検査データは一切出していません)。これには番組制作者もそしてゲストや研修医からも「えっ?」という感じでしたが、診断に関わるもののうち検査はわずか10%しか寄与しておらず、病歴と身体診察で90%が決まることを理解してもらいたかったのです。  私は今まで数字で客観的に斬ることで病態をクリアカットにしようと心掛けていましたが、それでも実際には病態の判断を行うには不確実な指標を複数組み合わせて”感覚的に”判断しており、一つの指標で断言するなどは到底できないことです。ですが「あれもこれも微妙ですが、全体としてこれ」という判断は研修医が聞いても面白くなくと思いますし、一般の方には尚更でしょう。そこで番組では思考回路の半分も説明できていませんし(VTRが私の想像と少し異なったことも含め)若干の矛盾を感じる点もあるかも知れませんが、ある程度断言して説明せざるを得なかったことをご理解下さい。  私には大衆向けに番組を考えられるほど余裕はありませんでしたのでそこはNHK側にお任せしましたが、少なくても研修医の先生に勉強になるように身体所見の大切さを解説したつもりですので、医学生や研修医の先生には楽しんで頂けるのではないかと思います。

 収録は本当にガチです。こちらも7ヶ月前から準備を開始し、実際の症例からプライバシーに配慮した症例にデフォルメを加えます。アドバイスしてくれる番組スタッフも大変です。医学書を片手に今回の症例の病気だけではなく鑑別疾患に関してや生理学・解剖学など一通り勉強していきます。やり取りのメールは全部で50通を超えていましたし電話がかかってくることもありました。そして収録前日に何もしらない研修医相手にシュミレーションを行い、修正をしてから本番に臨みます。本番で参加する研修医はドクターGが誰かも知らない状態でスタジオに来ますので症例を予測して勉強することはできません。私がドクターGで撮影することも公言しないようにと言われていました(まあ例えドクターGが私と分かったところで、全く専門性のない私がどのような症例を出すのかを絞る事は無理でしょうが)。この徹底ぶりが長年続く人気番組の秘訣なんでしょうね。  司会の通称「玉ちゃん」(芸名に関してはNHKならではのご苦労があるようです)には芸能人の凄さを見ました。長くドクターGの司会をされている事とはいえ、医学的な話は本当にしようとすればかなり出来そうでした。要所要所で場を盛り上げるために気の利いたギャグを入れてきます。台本にはない台詞ばかりですが、その場で考えるにしてはあまりに出来が良いのでやはり色々考えてこられるんだろうと本番中に感心してしまいました。私は自分の回の1本でクタクタになりましたが、浅草キッドのお二人は2本連続で撮影されていますから、さすがです。  ゲストはアン ミカさんと阿藤 快さんでした。背の低い私からみるとお二人とも背が高かったのに驚きました。あとで調べたら阿藤 快さんは183cm、アン ミカさんは174cmでしたがオーラなのでしょうか、もっと大きく感じました。またお二人とも非常に優しく控え室にわざわざご挨拶に来て頂いたり、収録の始まり・途中・最後に声を掛けていただいたりしました。大変ありがたかったです。

 研修医の先生は大変だったと思います。3人ともかなりよい指摘もしていましたが、ちょっと難しく考えすぎたところがあるようでした。後半には鍵となるVTR解説もあったのですが私と同様に疲労困憊し実力を発揮できなかった感じがあります。疲労だけではなく良い刺激となって今後の糧となれば嬉しいのですが。  ところで私の一番の経験といえばメイクでしょうか。なにやらメイクをされて眉毛を切られ、髪型を変えられそうになったところでちょっと抵抗しました。なんせ整髪料どころか櫛やブラシさえ使ったことは10年以上ない人間ですから原型を留めなくなりそうだったんです。そんな微妙な髪型の変化が本番では見られます。

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