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種々の癌の生存率

全がん協生存率調査 【全国がん(成人病)センター協議会】

http://www.zengankyo.ncc.go.jp/etc/

のデータを少しいじってこんなグラフつくってみました。

このグラフは横軸でI期における生存率、縦軸でIV期における生存率を示したものです。

 例えば、I期では5年以内の死亡症例がほぼなく、IV期であっても生存率が高いような甲状腺癌や前立腺癌の場合、早期発見のための積極的なスクリーニングにやっきになるのではなく、どこからが本当に臨床的な”悪性”腫瘍かを考えなければなりません。

 PSAをスクリーニングしても臨床的無害な前立腺癌が増えるために推奨されないのはそういった理由です。

 甲状腺腫瘤の生検のタイミングも難しいですよね。

 一方これらの疾患では骨転移で見つかってもあきらめてはいけません。治療を薦めましょう。

 I期では予後が良いが、IV期では予後の悪い胃癌、肺腺癌、子宮癌、大腸癌、膀胱癌などは早期発見の意義が高いと考えられます。

 大切な人には毎年の便潜血は絶対受けてほしい検査ですよね。

 また、肺腺癌かどうかはっきりしないpure GGOでも15㎜以上あれば切除が望まれるのは判断が難しいことに加え見落とすと予後が非常に悪くなりうるからでしょう。

 婦人科癌(子宮頚癌、子宮体癌、乳癌、卵巣癌)はこの部類に入ってきますし比較的若年者で起こることも多いので女性の癌検診の意義は高いです(市民検診を薦めましょう)。

 I期であっても予後が非常に悪いものの代表に膵癌があります。しかも症状が出現しにくく早期に見つけることが困難でもあります。食欲低下、背部痛、糖尿病コントロール不良などがある患者さんで造影CTをどの段階で施行すべきなのかいつも悩みます。

 肝癌は基礎疾患としてウイルス性肝炎が多いため、こういったハイリスク群では少しでも早期に肝癌をみつけるために積極的なスクリーニング(超音波検査や腫瘍マーカーなど)が薦められます。

 肺扁平上皮癌は中枢部に多いことから切除が難しく、肺腺癌におけるEGFR 遺伝子変異/ALK 融合遺伝子に対する個別化医療のような画期的な治療方法も開発されていません。

 このような治療困難な癌に立ち向かう先生はすごいといつも思います。

 IV期の生命予後が悪い疾患群を見ると、食道・胃などが含まれます。骨転移や肺転移などがある原発不明癌の場合、消化管内視鏡検査は予後を改善させないであろうことからかつて(私の研修医時代)は推奨されていなかったと思います。現在は大腸癌では転移があっても長期予後が良い症例も報告されています。明確なラインを引くのは難しいでしょうが、総合診療医と患者さんにとってはどこまで検索すべきかが大きな問題であるため、この点については近いうちにアップデートを一度しようと思います。

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