1.診断については胸やけや呑酸感が有用ではあるが、高齢者では食欲低下、貧血、嘔吐を主訴に受診することがある
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J Am Geriatr Soc. 2006 Oct;54(10):1537-42. PMID: 17038071
2.問診表はあまり意義がない。
GerdQ(下表参照)は症状(胸やけ、呑酸、上腹部痛、悪心)と生活への支障(睡眠障害、市販薬の追加使用)に関する6項目を聴取する問診表ですが、上記の通り診断特性は低いので、私はわざわざ問診表を用意はせずに普通に病歴をとるようにしている。Fスケール(FSSG)やQUESTについても同じような報告がされている。
3.逆流症状ではなく喉頭症状が目立てば狭窄、つまり食道癌を否定したい
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Ann Surg. 2004 Jun;239(6):849-56. PMID: 15166964
4.日常診療では検査できないが、唾液のペプシンが診断に有用かも知れない。
食道内24時間pHモニタリングがgold standardだが簡便性・侵襲性の問題から日常診療では行われることはまれである。そこでGERDの診断(食道pHもしくは内視鏡検査との比較)について診断特性を調べてみると、唾液のペプシンが有効らしい。今回は以下の論文に元データをまとめてくれていたので、95%CIが分かるように計算しなおしてみました。
Therap Adv Gastroenterol. 2019 Nov 21;12:1756284819890537.
ただしこのメタ解析で引用されている論文は2つのみで、適切なカットオフ値も不明。今後の研究が必要ではある。
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5.PPI試験の意義はわずかのみ
上表の通りPPI投与の診断特性は限られています。
折角なのでメタ解析のグラフも作ってみました。
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特異度はかなりばらついていますね。何をもってPPI効果ありとしたかで大きく変わるのかも知れません。
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ROCカーブもつくってみました。診断特性ばらついています。カットオフだけの問題ではないことが分かります。
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funnel plot代わりにORのデータを示します。症例数が少なくばらついているものがOR高く、症例数多く信頼区間がせまいものはORが1に近い傾向にありそうです(LRのデータも同様)。つまり出版バイアスもありそうですね。
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「胸やけ→PPI投与して効果あればGERD」という簡単な図式にはならないことだけは明らかなようです。
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