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「高齢者のポリファーマシーを考える会」で講演しまいた

『 ポリファーマシー外来 〜総合診療医の15年間の試み〜 』というタイトルで話しました。

この内容で地元で話をするのは緊張します。ポリファーマシーという用語をお嫌いな先生方も多いからです。

  

  ポリファーマシーが起こるのには様々な要因が関わっており問題解決は容易ではないことが多いですが、重要な事はポリファーマシーは悪意をもって生じることは決してなく、患者さんのためを思っての善意からきているという共通認識です。普段の処方医も処方調節医(ポリファーマシー対策をする医師)も同じ方向に向くことから始めなければいけません。初めは減薬したというだけで、噛みついてこられる先生もおられましたが、最近では我々が敵ではないという一定の認識が得られてきたように思います。

 「今までの様々な経緯があって現在の処方がなされている」ということを急性期の担当医は認識しなければならないように、「急性期には必要不可欠な薬剤以外は減薬する必要がある」ことを慢性期を診療している医師も認識しなければなりません。例えば誤嚥性肺炎で入院した患者の鎮静系薬剤や抗認知症薬を減薬することは常識的な対応と思います。お互いのベストの処方を一致させることは容易ではなく、また状況が違いますから必ずしも一致させる必要もありませんが、最低限、お互いの立場を理解した上で情報のやりとりを行うことを15年間してきたつもりです。このような議論が活発になることは、良い事だと思います。


 さて、開業医の先生が減薬を行うには障壁があるそうです。大病院の専門医が処方した薬剤を、非専門医の開業医が減薬して、(因果関係はともかくとして)病状が悪くなった場合、その医院の評判に関わりかねないという問題です。我々は主に入院管理中に、すべての薬剤の処方理由を問い合わせ、その状況に応じた適切な処方に再構成することを目指しています。まだまだご依頼は少ないですが、「減薬調節目的」でご紹介頂くこともあります。責任をもった処方再構成ができるように精進したいと思います。

 

 ところで、製薬会社のスライドチェックはとっても厳しい。より伝えたい内容があっても、より適切な内容があっても、1か月前に提出した資料そのままじゃないとダメらしいです。「しっかりとしたシステムを構築することは、本質を見失うことと似ている」とか・・・。


 ということで間に合わなかった内容。薬剤耐性(AMR)ワンヘルスプラットフォームというホームページから作成したデータです。日本ではまだまだ抗菌薬に対する一般人への啓蒙活動が足りていない。風邪に抗菌薬を出す前に(というか出すなんてことはあり得ないとは思うんですが・・・)、「風邪に抗菌薬がいかに有害無益であるか」を我々は啓蒙しなければなりませんね。


青色が正解で、橙色が間違い。日本は海外より正解が少ない。





抗生物質という用語をつかっているのは元データがそうだったからであまりお気になさらずに。


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