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執筆者の写真Y

インスリン注射勉強会

今週はインスリン自己注射の勉強会でした。以下は個人的な見解に過ぎないことをご了承下さい。


振る製剤、振らなくて良い製剤

  • 懸濁製剤は振らないといけません。

  • コロコロを転がすのでも良いそうです。目安は10回程度。

  • 懸濁製剤とは中間型インスリン製剤、あるいは中間型インスリン製剤を含む混合型インスリン製剤です。他のインスリンは大丈夫です。


カラ打ち

  • カラ打ちは2単位ですが、ランタスXRソロスターは濃度3倍ですので3単位打たないとダメなことに注意です。なお、ランタスXRソロスターはインスリンの濃度を高くして注射液量を少なくすることで、皮下に形成される無晶性沈殿物の単位量当たりの表面積が小さくなり、投与部位からのインスリンの吸収がより緩やかになり、持続的な薬血糖降下作用を示す製剤です。

  • カラ打ちは匂う。これはクレゾールによるもの。ちゃんとカラ打ちできているかは匂いで分かる。クレゾールは防腐剤であるが、インスリンは使い切りではないため防腐剤が必要。インスリン製剤は開封後は室温保存することが多い。それは痛み軽減、結露防止という意味合いがある。クレゾールは常温で効果を発揮しやすいのでインスリン製剤の防腐剤として好まれている。

10秒まつ

  • 注射には結構時間かかる。16単位を打つとこのぐらい時間がかかります。実際の皮下注射なら抵抗があるのでもう少しかかるかも知れない。

打つ場所はどこ?

  • 腹部、大腿などどこでも良いですが、臍周囲5cmは避けましょう。線維組織が多く、インスリン吸収が不良な可能性があります。

  • 適切な量のインスリン注射にも関わらず食後高血糖、遅発性低血糖がある場合にはインスリンボールへの注射を考えますが、臍周囲に打ってないかも確認しないといけないですね。

  • 指導用のシートも臍周囲にはマークがありません。


フレックスペンとフレックスタッチ

  • 同じノボ ノルディスク ファーマ株式会社によるデバイス。

  • フレックスペンは細い。フレックスタッチは太目、注入終了が音で分かりやすい。打つ時に押す力があまり要らないため、当院ではこちらのみ採用。

  • フレックスタッチは転がって机から落ちてしまうことが少ない。他の製剤も転がらないものが多いですが、ランタスXRソロスターも転がってしまいますので注意。

  • 転がって困るという人は、補助具をつければ転がりません。


  • フレックスタッチはインスリン量が増えてもせり出しが起こらない。その分ちょっと回すのが固いとは思う。



イノレット

  • 最近あまり見ないと思ったら、当院では採用されてなかった。黒電話を彷彿とさせるアナログな感じをとても気に入っていたご高齢の方を思い出します。

  • 油性ペンで印をつけて、注射する量に間違いが起こりにくいようにできるのも高齢者向け。

  • 右下の部分は実は蓋が開けられて、注射針を一つ格納できるのがトリビア。


ミリオペン

  • 断面が四角であることが特徴。転がる事はない。そしてちょっと太目だが短めのコンパクトボディ。

  • フレックスタッチ、ソロスターと同じく、単位数が増えるとせり出しが大きく、注入後の確認音がない。なぜフレックスタッチのようなデバイスにしないんだろうと思ってしまったが、ミリオペンのほうがせり出しがあることで単位数の誤設定に気付きやすく、また注入完了も分かりやすいというと考えるとこちらにもメリットがある。フレックスタッチでは注入完了が分かりにくいからこそ、確認音をつけたんですね。

  • ミリオペンは0.5単位で設定できる。つまり0.005ml刻み。すごいですね。なおランタスXRソロスターは0.0033/ml単位刻みなのでもっと小刻み。

  • 補助具も使ってみた。今回試したのは拡大鏡です。確かに文字は大きくはなりますが、見やすいかと言われると結構微妙ではあります。


カートリッジ製剤

  • まずインスリン製剤とは思えないほどオシャレです。写真はヒューマペンサビオですが、他社製品もオシャレなものが多くあります。ただし、手に取るとプラスチック製で質感はさほど良くありませんので、過剰な期待はダメです。

  • 耐用年数はデバイスによって異なり2-5年です。

  • ノボペンエコープラスは最新式でスマフォとの連携ができます。デモはしてないのでちょっと細かいことは分かりませんが、0.5単位刻みで注射でき、注射歴を記録できる代物です。データ転送にはデバイスをスマフォに近接させないといけないようで、Bluetoothですべて自動という訳ではないようです。

  • 初回にペン代がかかりますが、コストは1本あたり数百円安くなりますので、インスリン使用量が多いほどお得になります。

  • なお、ざっと値段を比べてみると、BSが安いのは分かりますが、その中でも特にカートリッジ製剤は群を抜いてお得です。ノボラピッド(プレフィルド)とインスリンリスプロBS(カートリッジ)では3倍以上の薬価の差があるとは驚きました。


GLP-1受容体作動薬

  • ビクトーザが当院採用です。高額なお薬ですし、毎回カラ打ちするのはどうかと思ったら、カラ打ちは初回使用時のみでOKです。

  • トルリシティも当院採用です。こちらは打ち切りなので、デバイスはバイオ製剤のそれに似ています。


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