今年も吸入薬の勉強会を行いました(すべてのPDFデータはこちらに更新しました)。雑感をいくつか忘れぬうちにアップしておきます。
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まずDPI。ソバをすする事ができるのが使うことができる目安。
もともとディスクヘラーというのがありましたが、もはや見かけることはなく、ディスカス(ICSならフルタイド、LABA/ICSならアドエア)が多く使われていました。ディスカスは外ケースと中レバーの二回操作が必要ですが、エリプタは1回操作で良いので評判は良いです。当院では古くからのフルタイドユーザーのためにディスカスが残っていますが、LABA/ICSはアドエアからレルベアに採用が変わって久しいです。
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エリプタで注意が必要なのは親指が吸入孔を塞いでしまうことがあることでしょうか。
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ICS/LAMA/LABA製剤もエリプタででており(テリルジー)、使い慣れていてありがたいです。1日1回ですしね。
エリプタはLABA単剤を除き各種薬剤が揃っており、当院でも採用が多いですが、それと同じほど市場では揃っているのが、ブリーズヘラーです。ブリーズヘラーはICS単剤を除いて揃っています。しかし50L/分の吸気流速が必要なことと、薬剤セットに手間がかかることから当院では採用が殆どされていません。
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カプセルを捨てる時に確実に吸入できていたことが確認できるというメリットがある一方で、この薬剤が認知症患者さんだと内服しかねないカプセルで、患者層を選びます。
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シムビコートも根強い人気がありますが、操作とカウンターが分かりづらいという意見があります。補助具をつけると回転の向きが分かりやすいですが、補助具が無くてもわかりやすいように改良して欲しいと思います。なお手技が分からなくなってなんどかカチャカチャ回しても一度に吸入される薬剤量は増加しないようにはなっています。
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つぎはpMDIですが、pMDIでのICS/LABA/LAMA製剤はビレーズトリ エアロスフィアという製品です。キュバール、アドエアエアゾール、フルティフォームを使い慣れた人ならば移行はスムーズです。
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フルティフォームは比較的目盛りが見やすい。
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今年も我々の中では人気だったジュヌエア。ボタン一つの操作で済むし、見た目で分かりやすいが、なぜか処方されているのをあまり見かけない。これはブリーズヘラーとほとんど同じレベルである45L/分と高い吸気流速が必要であることが問題なのかも知れない。なおエリプタの必要吸気流速は30L/分、スピリーバハンディヘラーは20L/分です。また、ジュヌエアは音が鳴っても吸い続けなければならないそうです。なお、キャップは側面を押さえないと外しにくいことが慣れるまでは戸惑うことがあるようです。
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レスピマットは高齢者向けなのにボンベのセットが大変。これは薬局でやってくれるような話を聞いたことはありますが。
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また本体の下半分を回転させてから、本体側面にある半月状のボタンをおして薬剤噴霧を行いますが、回転させるのが結構力が要ります。そのためこの補助具が必要な人もそれなりにいそうです。また、注意が必要なのは回転させる時に力をいれて握った際に意図せずボタンを押してしまい、思わぬタイミングで噴霧されることがあることです。それを防ぐためにキャップを閉じた状態で回転させて、ローディングされてからキャップを開けて、ボタンを押すという手順はちょっとややこしくはありますね。LAMAは高齢者への処方が前提で考えるので色々注文を付けたくなりますが、LAMAでのpMDIはこれ一択ですので、選択の余地がないこともしばしばです。
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SABAはメプチン、サルタノールを良く用いますが、メプチンエアーはキャップを外すことでロックが解除され、初めて噴霧できます。これはバッグの中に入れて持ち運ぶことを考えると大きなメリットです。
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またエアゾール製剤はせき込んでしまうという人はメプチンスイングヘラーというDPI製剤もあります。これも使い勝手は良いと思います。複数回ボタンを押しても1回の吸入で入る薬剤量は同じになるように工夫されているそうですが、水平を保って吸入する必要があります。
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