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執筆者の写真Y

広島大学で学生講義しました

毎年の講義でモラルの話をしています。

モラルとは万人が共通に身に着けているべきものであるような感じがするかも知れませんが、実際には個人個人でモラルは異なります。100名のデータをみると、以下のようにバラバラです。

(細い線が個々のデータです。青い太線は自由主義(ユニセフ的)なモラルの持ち主で、緑の太線は保守的(軍人的)なモラルの持ち主です。)。



今回は、どういうモラル保持者が良いのか、悪いのかという話ではなく、お互いにモラルが違うことを知らない事や、違うモラルを受けられないことが問題であるという話です。分かりやすいのは、戦争です。お互いに「正義は我にあり」と思っています。

医師(あるいは多くの人)はバランスの取れたモラルが必要ですが、バランスの取れたモラルを得るためには、立場や考え方と違う人の考えを尊重する事です。今回初めての試みで緊張しましたが、クラス平均はキレイな正五角形となりました(下図の紫の塗りつぶし)。これは素晴らしい結果でした。私が言いたいことが無事証明できてよかったです。


医学生は受験勉強に勝ち抜いてきたエリート集団です。ある程度考え方も似ています。学生時代は考え方が同じ人々がサークルなり部活なりで集まります。そのほうが楽しいからです。でも、そういう集団はモラルや考え方が偏っています。

しかし、医師になってからは医者同士のコミュニケーションだけではなく、患者さんやコメディカルなど違う立場の人々とのコミュニケーションこそが大事であることに気づくと思います。特に総合診療科ではそのようなことを強く感じます。

一般的に歳を重ねるほど、自分の経験や考えが判断の中心となります。今回の講義で、違う立場や考え方の人々と良好なコミュニケーションを図ることの重要性を、彼らがまだ学生時代に伝えることができたなら、嬉しく思います。


なお、今回のプログラムでは個人の携帯で、自分のモラルをクラス平均とも比べることができます。


今回のプログラムも丸太町病院の人に試してもらって、修正してから本番に臨みましたが、100人のデータを表示させるとさすがに見にくかったです。終了後に多少グラフを見やすくなるように線の太さを変えましたが、来年までにもうちょっと改善をさせようかと思います。



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