今までに713例、213の薬剤が急性膵炎の原因として報告されています。
PLoS One . 2020 Apr 17;15(4):e0231883. doi: 10.1371/journal.pone.0231883. eCollection 2020. Drug induced pancreatitis: A systematic review of case reports to determine potential drug associations
一覧を示しますと以下の通りですが、ちょっと把握するのが大変です。
以下でIa,Ib,Icに分類されると他の原因がなく薬剤性であった可能性がかなり高いと思われる報告なります。
この薬剤性と3報告以上されている薬剤だけをまとめ直しますと以下の通りです。
これなら何となく把握できると思います。
この中で最も報告数が多いのはバルプロ酸です。しかもClass Iaということで断トツで疑わしい薬剤。L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5-アセチルサリチル酸もそれに次いで多く、やはりClass Iaということでこの4つは押さえておくべきと思いました。
集計方法を変えた別の報告でも同様です。
Gastroenterology . 2020 Nov;159(5):1958-1961.e8. doi: 10.1053/j.gastro.2020.07.016. Epub 2020 Jul 17. Analysis of 1060 Cases of Drug-Induced Acute Pancreatitis
ただ、こちらの報告ではシプロフロキサシンやプレドニゾンあたりは遭遇する機会がありそうに思えます。自分なりの鑑別順に並べてみます。
1. バルプロ酸
2. L-アスパラギナーゼ、アザチオプリン、5-アセチルサリチル酸
3. ①抗癌剤/免疫抑制剤、②ホルモン製剤(ステロイド)、③消炎鎮痛剤(5ASA、アセトアミノフェン、NSAID)、④抗微生物薬(マクロライド、テトラサイクリン、キノロン、ST合剤/ペンタミジン、イソニアジド、メトロニダゾール)、⑤神経系(バルプロ酸、抗精神病薬、プロポフォール)、⑥ACE阻害薬
4. 個人的に鑑別に挙がったことがあるので覚えている薬剤(フロセミド、メトホルミン、アミオダロン)
5. 報告のある薬剤と発症のタイミングをまとめたSupplementを読み直す
といったところでしょうか。
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