当たり前ですが、内頚静脈の観察でCVPが予測できます。尤度比は3.4-4.1程度でさほど高いわけではありませんが、うっ血ぎみ(CVP高い)と思われれば、脱水な事(CVPが低い)はありませんし(LR=0.0)、脱水かと思ったけど、実際はうっ血ということもそうそうありません(LR=0.2) 。
もちろんCVPは補液の指標とはならないなどの反論はあると思いますが、頸静脈の観察が非常に重要な事に異論はないと思うのです。なお、エコーでも仰臥位のIVC観察は信頼性が低く、ギャッジアップして頸静脈を観察するほうが良いと報告されています。すばらいしいかな、頸静脈。
なお、頸静脈圧が高いと考えられた(頸静脈波形が観察しやすい)症例と比較して、頚静脈圧が低いと思われた症例の診断特性があまり良くありません。これは頸静脈圧をうまく評価できていない症例が含まれるからかも知れません。頸静脈圧が低いと思った時にはギャッジアップを緩めたり、頸静脈の近位部を圧迫したり、腹部圧迫するなどして本当に頸静脈圧が低いのかそれとも観察が難しい症例なだけなのかを確認する必要がありそうです。
さて、次は頸静脈の観察が難しい場合の話です。そのような場合は手背の静脈怒張からCVPを推定します。直接比較したデータではありませんしカットオフも異なりますが同様な表記となるように表を作ってみたところ、この場合も診断特性はさほど変わりません。うっ血が疑われる場合は、LR4.9でCVP高いですから、指標になります。しかし、手背静脈が虚脱していると思われても実際にはうっ血の症例が紛れ込んでいる(LR 0.4)ことには注意が必要そうです。症例数が少ないため追加試験が必要とは思いますが、末梢の静脈観察では静脈の一方弁が働いてしまうためにあまり怒張しない症例が多いと考えると納得できるデータと思いました。
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