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  • 執筆者の写真Y

生物学的製剤の打ちやすさ比較

久々に関節リウマチの製剤見本をすべてそろえて打ち比べを行いました。種類がありすぎてわかりにくいですが、このように手元に揃えて比べると互いの違いが良く分かりました。


 

エンブレル

元祖自己注射製剤ですから、当時は最先端を感じたデバイスもやや古い感じは否めません。

もうシリンジは処方していませんが、ゆっくり注射しないと(室温に戻してたが)痛くてイヤ、という方でペンタイプよりシリンジを好んだ方も過去にはおられました。なぜかシリンジの補助具はうまく使えなかったですが、実はエタネルセプトBSの補助具を使えます(メーカーとしてはやめて下さいと言うでしょうが)。

皮下注ペンはインスリンのペンタイプ使用者ならば馴染みのあるスタイルで、お尻の部分を押すタイプ。注入時間は10秒と長いのでインスリン使用者だと逆に注意して指導しなければならないのが生物学的製剤。時間も大事ですが注入後の音で確認してもらうのが現実的。この音がするのはエンブレル時代からだったんですね。ただしこの頃の練習キットは注入速度が本物よりも速いので患者さんにそこをちゃんと伝えておかないといけなかった。


 

エタネルセプトBS

デバイス観点からはエンブレルの改良型と言ってよい。シリンジは見た目ほぼ同じ。(キャップの外し方へたくそですけど、下向けてやれば普通はポンッととれます)

ペンは見た目スマートさに欠けるが、転がりにくいし、滑りにくく、握りやすい。さらにキャップが開けやすく、皮膚に押し当てると勝手に注入されるので機能面は改良型。一方で廉価型(32%安い)でもあるので、練習キットはかなり安っぽい。注入がわかる窓さえ絵で手動感万歳です(笑)。ペンタイプなのに15秒って注入時間が長いので(他のペン型は10秒、それ以外は15秒)、その時間と確認音が練習キットでは体幹できないのがマイナスポイント。なお本物では注入終了時の確認音します。


 


ヒュミラ

ワインレッドがオシャレです。シリンジタイプでも針先をみなくてよいので(動画では針先見えてますが、ひっくり返したら見えない)、それなりに抵抗なく打てる。それでも処方することはあまりありませんが。


ペン型はボタンがお尻ではなく脇についたので、母指変形があっても操作しやすいです。注入時間は10秒なので練習用キットでは早すぎることを説明しておかないといけません。



 

シンポニー

シリンジ型ももはや補助具がメインとなってきている。


オートインジェクターはヒュミラよりもさらにボタンが押しやすくなった。皮膚に押し当てないとボタンは押せないですが、皮膚にしっかり密着させるためにやりなおそうとした時に、うっかりボタンを押してしまって誤注入ということは起こりうる。そんなうっかりミスで12万円失うリスクはちょっと大きい。うっかりボタンを押さないように持ち方を指導しておく必要がある。



 

シムジア

シリンジがカッコイイ。なんかアーチェリーを彷彿させる。


オートクリックスは名前の通り、皮膚に押し当てると勝手にクリックされ注入が開始されます。TNFα阻害薬の中では最新機種だけあって使い勝手は一番よいですね。


 

アクテムラ

IL-6阻害薬に移ります。

オートインジェクターはペン型のような感じです。

注入確認音がしてもちゃんと注入が終わるまで時間で確認しましょう。

安全カバーにロックがかかる音であり、注入が終了したわけではないそうです。

そのためスターターキットにタイマーも入っています。


 

ケブザラ

オートインジャクターといいつつ、オートクリックスみたいな感じで押し当てると勝手に注入される(シムジア、ケブザラ、エタネルセプトBSの最近の3つはこのタイプであるが、覚えやすように注入器の名前を統一して欲しいと思う)。

キャップを開けやすい工夫がされている。

最も新しいだけあって?注入速度が本物のようにゆっくりです。

このぐらいの速度ですよと他の製剤の時でも参考にみせてよし。



 

オレンシア

青色と黄色のレゴ感があるオレンシア。


お尻にボタンという古典型。注入速度はゆっくりにみえる。

シリンジ型ではシムジアを除いて補助具があるが、ペン型やオートインジェクター等で補助具があるのはエンブレルとアクテムラ、オレンシアのようにお尻にボタンがついていて押す時にずれやすい製品のみ。注入器具自体に工夫がされている製品が多いので、補助具を希望されることは少ないようには思います。



 


注:個人の感想であり、どの製品が最も優れるかを判断するものではありません。





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