また、ホームページでのデータ更新は留まっていますが、最新のデータはTeamsを使って「薬剤部⇔総診」のチャネルで公開していますので、職員の方はそちらもご覧ください。
エンブレルは用量調節の幅が広く使いやすい製剤の一つです。一般的にペンタイプの補助具には、体表と器具の接触面を増やすアタッチメントが良く知られていますが、エンブレルの場合は以下のような補助具もあります。
一つ目は先端部のキャップを外しやすいように、エンブレルの入れ物にされている工夫です。
またグリップも補助具として配布されています。これを用いると非常に握りやすくなるばかりではなく、親指で注入ボタンをおす必要がなくなり、非常に使いやすいです。
エンブレルにはクリックワイズという新しい製品があります。機器が大きくかさばるようにも思えますが、カートリッジ製剤が小さいために、全体としては省スペースにも役立ちます。この機器を用いると注入速度を5秒、7.5秒、10秒に切り替えることができるなど、今までにない調節ができます。
2023/5/30 追記:エンブレルクリックワイズのデバイスは病院側が購入します。 デバイスの納入価は交渉次第となっております。デバイスを患者様へお渡しする際に病院側は「在宅自己注射指導管理料(300点)」の算定を取ることができます。
エタネルセプトBSの値段は25mg製剤が6422円、50mg製剤が12421円(ペン製剤の場合)であり、Bio製剤の中では最安値であることが人気です。エンブレルと比較しても39%OFFというバーゲン価格。その分、ちょっと造りも安っぽい感じはします。キャップを外す補助具も、Reasonableな感じ。ただ効果としては十分期待できますので、あくまでデバイスがやすっぽく見えるというだけです。試しに使ってみると打ちにくさもありませんしね。安っぽく見える理由かも知れない、角ばった6角形の本体デザインは転がらないようにという配慮からです。
最近はペンタイプしか処方していませんが、シリンジタイプも使ってみました。自分で打つ真似をすると、やはりペンタイプのほうが抵抗感も少ないし、打ちやすいです。入っているのがしっかり視認できるし、痛くないように自分好みの速度で注射できるのはウリですが。ちなみにペンタイプよりもシリンジタイプのほうが若干ですが値段は高いです。ちょっと意外です。
補助具を使うと安定性はかなり安定します。キャップも補助具が外してくれる仕掛け付きです。でも、やっぱりペンタイプが自分は好きです。
ヒュミラはボタンが横についているので、注入ボタンがおしやすい。写真は親指で押してますが、親指が不自由な方は他の指でも押せるというのも利点です。注射前に室温に戻すのが10-15分前で良いという点が他の製剤よりも優れますが、ややこしいのでどの製剤も30分前には室温に戻しておくと、個人的には覚えています。
アダリムマブBSはヒュミラの45%OFF(50mgで27884円)というお得商品。写真はないですが、いわゆる古典的なペンタイプ(あるいはシリンジ)で、エンブレルと同様にヒューマログなどのインスリン製剤のペン製剤と似ています。つまり、手指が不自由なことが多い関節リウマチ患者には若干使いにくい可能性があるのに注意です。さすがにエタネルセプトより安くはないですが、2週に1回で良いという点はエタネルセプトよりも好まれるところですね。
シンポニーはオートインジェクターというペンタイプとはちょっと違うデバイスです。これはあえて太めに作られているので握りやすいし、ボタンも横向きで押しやすいというのはヒュミラと同じです。ただし、シンポニーのほうがボタンが下の方にあるので、押しやすいというメリットがある一方で、意図せずに注入開始になることがあるかも知れません(位置決めをし直そうとしても、その時点で注入開始となってしまうことがある)。
シムジアはTNFα阻害薬の中では最も新しく(BSを除けば)、デバイスが良い分、値段も最も高いです。もちろん、PEG化製剤でFc部分なく胎盤通過せず、乳汁移行性低いなど薬品の特性も違いますが。
シムジア オートクリックスはグリップの質が高級感を漂わせます。滑らないゴム製。なお、シリンジタイプも妙にかっこ良いですが、いずれも25Gの針と太いためちょっと痛いという話もあります。
4週毎で比較した場合、エタネルセプトBS50mg週1回なら49684円、アダリムマブBS40mg2週毎なら55768円です。つまりBSなら5万円前後。
先発品ではエンブレル50mg1週毎が81668円と安く、ヒュミラ40mg2週毎なら102004円、シンポニー50mg4週毎なら109382円、シムジア200mg2週毎は114232円です。シムジアは最初3回は倍量投与ですので初期費用は高くなるため、驚かれます。ただしシンポニーはMTX併用しない場合は100mg投与となるので、それよりは安いですが。
アクテムラはIL-6受容体抗体製剤としてよく使われています。オートインジェクター2W毎使用の場合、4週あたり65208円と比較的安いのも人気の理由です。注意点は2回目の音は安全ロックの音であり、注入完了の合図ではありません。15秒間ちゃんと皮膚から離さないように押し続けていなければなりません。これは改良すればよかったのに、と思いますが、アクテムラしか使っていない患者さんはこれに慣れているので問題ないそうです。TNF阻害薬からの変更時には特に注意ですね。
ケブザラもIL-6受容体抗体製剤です。完全ヒト型抗体で中和抗体ができにくいことなどが期待されていますが、アクテムラほどのデータがそろっておらず、200mg2週毎の使用で4週あたり95916円とアクテムラより1.5倍近い値段から、シェアは少ないようです。製剤の形は握りやすいように工夫されていますが、ナイフの形に似ていますね。
オレンシアは唯一のT細胞選択的共刺激調節剤です。なぜか他の製剤は長らく出てこないですね。オレンシアは幼稚園児にも受けそうな(私の主観です)色調が特徴的です。
こちらのデバイスでは薬剤投与完了の音がしません。なお4週あたり114188円とまぁまぁなお値段です。特に点滴の場合は体重が60kg以上(≦100kg)だと163332円となります。
オレンシアのシリンジ製剤は注射後に針が収納されます。今回は試せていませんが、シンポニーのシリンジ製剤も同じような仕組みがあるそうです。
毎年行っている勉強会ですが、毎回新しい学びがあります。来週はインスリン勉強会の予定です。
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